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「岡崎には及ばない点は多いが、武藤にしか無い決定的な武器もある」ドイツ・ブンデスリーガ第3節 マインツ-ハノーファー

前節のボルシアMG戦では、せっかく終盤にビッグチャンスを2つ作るもののシュートミスで得点できず、悔しい先発デビューとなってしまった武藤だったが、第3節のハノーファー戦では2得点+マリの得点に繋がるボール奪取と全ての点に絡む大活躍で、ビルト誌とキッカー誌でともにベスト11に挙げられる高い評価を得る事が出来た。

ただ、武藤の偉業にケチを付けるわけではないが、ハノーファーの守備が相当不安定だった事も割り引く必要はある。ハノーファーのフォーメーションは4-1-4-1だが、今の流行であるアンカーを下げてSBを高く上げた3バック気味のビルドアップは行わず、酒井も含めたサイドの位置はやや低めで、アンカーのサネもそれほどパスを受けには来ないため、ボールの預けどころが無くて前線のベンスホップは孤立。こういう時に清武がいれば、前線と守備陣のリンクマンになれるのだが、怪我で居ないために全く攻撃は機能せず。

前半15分に、左サイドの攻め上がりからハイロに繋ぎ、ラインの裏に抜けだした武藤にスルーパスが通って冷静にファーサイドに流し込んだ得点が決まったが、この場面でもサイドの2対2の状況ではマークの分担が曖昧で簡単に中へパスを通され、CBの2人は一方がラインを上げ、もう一方が武藤のマークに行くという始末で、守備の連携や組織がてんでバラバラ。29分にCKの折り返しをフリーになっていた武藤が押しこんだ場面も、マンマークに付いていた酒井がボールに目が移って武藤を離してしまっている。ちゃんとチームに守備の約束事があるのかと不安になるぐらいのミスである。

マインツの方は、今流行りの戦術ではないオーソドックスな4-4-1-1で、後ろの8人は一応ゾーンは作るものの、ゾーンの中に入った選手はマンマークで面倒を見て、ボールを奪ったらすぐさまサイドに展開して素早く攻撃するなど、単純ではあるがそれゆえにチームに迷いがなく、まだ中盤と武藤の動き出しにタイミングが合わない場面はあるものの、それさえきちんと合致すれば中堅の順位は十分キープできるポテンシャルはあるように思う。

武藤については、個人的に注目しているのは攻守における彼の「しつこさ」。岡崎は当然動き出しも守備も優れていたが、DFと競り合うと結構倒れてファールをもらう事を選択してしまうし、絶対速度が速くないのでチェイシングしてもボールを奪うところまでは行かない。ところが、武藤は競り合っても倒れないし、スピードがあるのでチェイシングでDFに追いついてボールを奪えてしまう。こういう選手が前線に居ると、相手のDFは本当に嫌がるに違いない。

これでポストプレイで半身になってボールを受けてから反転して抜け出すスキルを覚えたり、ゴール前でのGKとの駆け引きを覚えるようになると、もっともっと恐ろしい選手になって上位クラブへの道が開けて来ると思うし、クレバーな選手なので十分可能な領域だと思う。代表戦を挟んでハードスケジュールが続くが、とにかく怪我だけには気をつけてもらいたい。

酒井については、守備での大チョンボはあったが、セットプレイからゴールに飛んだヘディングが2本あり、後半はポジションを高く取って攻撃に絡もうという積極的な姿勢が見えた。ミスは多いけどそれを恐れて消極的に待っていたのでは良さが出ない選手だと思っているので、これからも思い切ってどんどん仕掛けて欲しいね。

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