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「岡崎にあって、武藤に足りないものはまだまだ多い」ドイツ・ブンデスリーガ第2節 ボルシアMG-マインツ

ブンデスリーガの開幕戦はともに敗戦という結果に終わり、巻き返しを図るボルシアMGとマインツとの対戦は、ボルシアMGが軽く4~5回はあった決定機に決められず、逆にマインツが少ないチャンスで2点をものにし、ある意味ラッキーなアウェイでの勝利を手にすることとなった。

ボルシアMGは4-4-2、対するマインツは武藤が1トップで先発した4-2-3-1だが、守備時にはどちらも4-4-2になって、マイボール時にはアンカーの1人が下がってビルドアップに参加する現代風の味付けがされているという意味でも、同じような戦術マッチアップになった。

当然、格下でアウェイのマインツが守備的な方向になり、4-4のゾーンは組むんだけどあまりラインの上げ下げをせず、ボルシアMGの攻撃を引き込んで武藤の飛び出しやマリの一発にかける狙い。で、前半の途中まではその狙いが当たり、マインツはボルシアMGの中盤に縦パスが入ったタイミングを狙ってプレッシャーをかけ、何度かカウンターのチャンスはあったが武藤がオフサイドに引っかかってしまったり、味方と呼吸が合わなくてポストプレイがずれたりで決定機までには至らず。

そうこうしているうちにボルシアMGが落ち着きを見せ始め、サイドでじっくりとボールを繋いでからバイタルに人を集め、マインツのDFラインを中央に寄せてからアザールやトラオレのドリブルでサイドを切り崩す形が機能し、何度もチャンスを作るが決められず。逆に、前半終了間際にマインツがカウンターからのクロスが中央にいた武藤には合わなかったものの、ファーに走り込んだハイロが押し込んで先制点を奪う。

後半になってさらにペースはボルシアMGに傾き、マインツのラインはほとんど押し上げられなくなってPAの周りでボールを回され、後半9分にはPA内で横パスをつないでマークがずれたところでヘアマンが狙いすましたゴールを叩き込んで早速同点。マインツはほとんど武藤までボールが渡らなくなり、完全に押し込んだボルシアMGは何度も何度も決定機を作るのだが、これがまたことごとく決まらない。

そうなるとやはりサッカーの神様はお決まりの必殺技を繰り出し、24分に久々の相手ゴール付近にボールを持ち込んだマインツが、武藤も絡んで中央でパスを繋ぎ、左サイドに振ったボールをハイロがクロス、これがボルシアMGの選手の足に当たって浮き球となり、不運にもファーサイドにいたクレメンスの足元に落ちてきて、ダイレクトボレーが決まってしまう。

もちろんそこからはボルシアMGが選手を突っ込んでさらに前がかりになり、マインツもカウンターから武藤に2度の決定的チャンスが訪れるが、右サイドでフリーになった右足シュートはインサイドにかかってしまってファーポストから遠ざかり、2回目の完全なGKと1対1になった場面は、疲れもあってかゴール前でわずかにスローダウンしたところをDFに当たられ、シュートはクロスバーの上に飛んでしまった。が、試合はそのまま動かず1-2で試合終了。

1トップで初先発になった武藤は、DF裏への飛び出し、ポストプレイ、守備でプレスバックと90分間惜しみなく走り回ったが、結局自身の結果にはつながらず、ほろ苦さが残る先発デビューとなってしまった。

武藤のプレイを見ていて思ったのは、DFライン裏への飛び出し、ゴール前の飛び込みがオフサイドになったり味方のパスから速すぎたりで合わなかったり、DFにコースを押さえられる場面が非常に多かった。これが岡崎であれば、走っている間にスピードやコースを変えてDFの視界からいったん「消え」、DFのニアへのクロスを呼び込んでダイアゴナルに飛び出して合わせるプレイが上手いんだけど、武藤は全てが直線的かつ一本調子で、相手DFにとっても動きが読みやすく、味方との呼吸を図る余裕が感じられない。

得意のサイドで使われないのが問題という意見もあるが、グランパスの永井同様に彼は純粋なサイドアタッカーではなく、両サイドを高く上げる戦術の今の流行を考えたら、オーバメヤンのように前線で幅広く基点になるプレイヤーを目指したほうが良いのではないかと思っている。

身体的、テクニック的な素質では岡崎を確実に上回っているのだから、これからはFWのとしてのスキルを上げていけるかどうかが、今後のステップアップの先斗になって来る。努力する才能に関しては岡崎は世界トップクラスなのだから、是非とも彼をお手本にして頑張ってもらいたい。

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