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「ドルトムントに見た、ザックジャパンの幻影」ヨーロッパリーグ予選プレーオフ第1レグ オッド-ドルトムント

ヨーロッパリーグ本戦への切符がかかった重要な試合ではあったが、トゥヘル監督はブンデスリーガの開幕戦から先発5人を変えるターンオーバーを決行。しかし試合の前半はその目論見がものの見事に外れてしまった。

まず開始わずか16秒で決まったオッドの先制点は、この試合では右SBに入った本職ではないカストロが簡単にクロスを上げさせ、ボランチのギュンドアンとベンダー2人ともサイドに寄ってしまって中央はがら空き、サムエルセンにどフリーでヘディングを決められる。

20分の2点目は、ギュンドアンが途中で相手のカウンターに対してマークを外してしまい、中央のカバーに入っていたカストロがファーにいた相手に迷って対応が遅れ、ど真ん中からズドン。3点目はヴァイデンフェラーがFKを腰砕けのセービングで後逸するという悲惨さ。

攻撃でも、せっかくマイボール時は4-3-3気味にして「自分たちが使うためのスペース」をバイタルに作っているのに、そこへ右SHに入ったカンプルがガンガン中に入ってしまって交通渋滞を巻き起こし、しかも球離れが悪いのでドリブルで仕掛けては取られたり、結局スローダウンしたりして周りと全く合わず、カンプルが空けたスペースをギュンドアンが寄ってカバーしたり、後ろのSBカストロが孤立したりと、せっかくのポジションバランスが台無しになって守備にも悪影響が出ていた。

それは昨年の低迷していたドルトムントというよりは悪い時のザックジャパンのようで、香川も岡崎も中に寄ってバイタルが渋滞し、そこを無理やりなワンツー地獄でボールをカットされては、攻撃陣の尻拭いでスカスカになってしまった守備陣をやすやすと突破される懐かしい光景を思い出させてしまった。ただし今回はm率先してインサイドハーフとしてポジションバランスを守ろうとしていたのが香川だったというのが皮肉ではあるんだけどね(笑)。

さすがにトゥヘルも前半途中で修正を施したようで、30分ごろからカンプルがあまり中に入って来なくなり、香川がトップ下の位置に入ってボールを受けるようになってようやく攻撃にリズムが出て来る。そして34分に右のカンプルからの折り返しをギュンドアンがミドル、GKが弾いた隙にオーバメヤンが押し込んでドルトムントが1点を返す。この得点が結果的には大きかった。

後半からカストロに代えてソクラティスがCBに入ってギンターがSBに移り、まずカウンターの基点になっていたFWオーシャンを封じる手を打つ。そして香川はよりインサイドハーフ的なポジションにになって、4-1-4-1で守備を固めるオッドのアンカー脇のスペースでボールを受け、プレイメイカーとして働くようになる。

そして早くも2分にPA内で競り合ったこぼれ球に反応して香川がボレー、これがポストをかすめて決まってドルトムントが1点差。さらに後半20分を過ぎるとオッドの選手が足が止まり始め、バイタルに侵入してくるドルトムントの選手に反応出来なくなり決定機が量産される。

しかしオーバメヤンやギュンドアンがイージーなシュートをミスしてなかなか得点が出来なかったのだが、32分にようやく香川の繋ぎからシュメルツァーがグラウンダーで折り返すと、やっとオーバメヤンが合わせて同点。40分に左に流れた香川のクロスに飛び込んだムヒタリアンがヘディングで逆転、あとはドルトムントが試合をコントロールして何とか逃げ切った。

逆転で勝ったから良かったものの、現状のスタメンとサブの力量差を露呈したのは確かで、シャヒンやピシュチェクなど怪我人も多い中でどう前半戦をターンオーバーしながら整えていくのかは頭の痛いところ。その中では、途中で1トップに入ったラモスは幅広く基点となる動きで存在感を示し、今後も使える目処が見えたのが救いか。

香川については、前半は持ちすぎでスピードダウンする機会が多く、1G1Aの結果は出したがトータルでは微妙な出来。今はギュンドアンと同じように、インサイドハーフとしてゲームメイクをメインにしながら流れを見てフィニッシュに絡むという役割に専念したほうが良いのではないかと思った。

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