旧閑ガゼッタ

ブラジル人選手、監督が結果を残せなくなった理由

最近、とある戦術系サイトを見ていたところ、「何故、ブラジル人選手、ブラジル人監督がJ1で結果を残せなくなったのか」という問いかけを見かけました。

結局そのサイトには答えは書いてなかったわけですが、個人的にはブラジル人選手と監督の低迷は、もはや世界的傾向になっているのではないかと思っています。

ご存知のようにブラジル代表は自国開催のW杯でドイツに記録的な大敗を喫し、かつては綺羅星のごとく天才が並んでいたFWの選手も、今やスターと呼べるのはネイマールのみ、監督も世界レベルで活躍している人はおらず、コパ・アメリカでベスト4に進んだチリ、ペルー、アルゼンチン、パラグアイは全てアルゼンチン人監督が率いています。

個人的には、それが全てではないにしても、最近のサッカーがあまりに高速化され過ぎているのが大きな理由ではないかと思っています。

日本ではハリルホジッチの「縦に速いサッカー」が異端視され、やはりザックジャパンのショートパスサッカーでないとダメなんじゃないかという論調がまたぞろ復活している気配があったりしますが、欧州を見ると既にバルサはMSNの3人によるカウンターチームに変化していますし、そのバルサの黄金期を作り上げたグアルディオラ監督率いるバイエルンは完全なプレッシングサッカーに、さらにはシュツットガルトのようにもっと過激に速い攻撃を掲げるクラブが生まれているぐらいで、日本は思想的に地球を2周ぐらい遅れてしまっているのが現状です。

そこまで高度に戦術化されたサッカーの中では、個人のコンビネーションとかアイデア、判断力といった「自由」が介在する余地は極めて少なく、と言うかむしろ判断が介在すると間に合わないレベルにまでオートマティズムが徹底されていると言って良いでしょう。トルシエジャパンのフラット3の練習を称して、軍隊だとかロボットなどとマスコミはおろか協会長が率先して中傷していましたが、当時の自由とか創造性なんて、今から見ると本当にナンセンスな議論ですよね(笑)。

ブラジルも、レベルは天と地ほど違いますが日本と同じようなジレンマに陥っていると言えます。ブラジルの国民は、フッチボウ・アルチと呼ばれる美しいサッカーを好み、遊び心や芸術的なテクニックを大切にしていますし、ドゥンガを見れば分かるように戦術でガチガチに縛るタイプの監督は非常に嫌われ、戦術家よりもセレクター型の監督が多いです。しかも戦術的と呼ばれるドゥンガのチームでさえ欧州クラブほどに組織化しておらず、やはり個人の判断やコンビネーションがベースです。そこに、今のブラジルの限界があるのではないかと思っています。

もちろん、あれほど一世を風靡したバルサのポゼッションサッカーが過去のものになりつつあるのを見ても、戦術のトレンドは必ず変化するものでありますし、もしかするとルールの変更によって再びゆったりとしたフッチボウ・アルチの世界が戻って来る事があるのかもしれませんが、その巡り合わせを気長に待つのか、それとも国民のサッカーに対する意識が転換するのか、果たしてブラジルの未来はどちらに動くんでしょうか。