旧閑ガゼッタ

「チャレンジなでしこにとりわけ目立つ、”サッカーをプレイする”範囲の狭さ」東アジアカップ女子 日本-韓国

リオ五輪以降を目指す、次世代のなでしこジャパンメンバーを選考する大会と位置づけられた東アジアカップ。その「チャレンジなでしこ」達は、北朝鮮戦に続いて2戦目の韓国戦でも連敗し、W杯なでしこメンバーとの力量差をまざまざと見せつけられる結果になってしまった。

とにかく敗因としてはっきりしているのは自分たちのプレイにつまらないミスが多すぎること。自陣でDFやボランチが相手にパスする機会は数え切れないぐらいで、これがW杯のアメリカ相手なら2桁の得点を入れられてるだろうというぐらいに、決定的なピンチをわざわざ相手にプレゼントしまくっていた。

何故そういうプレイが多くなってしまうのかと言うと、彼女らにとってのサッカーが自分の半径10m以内に留まってしまっているからではないかと思っている。

欧州、特にイタリアとかの国では、パスの優先順位は相手ゴールから逆算していくのが常識で、まずルックアップして相手のゴールに近い位置でフリーになっている、なろうとしている選手が無いか探し、次に逆サイドなど相手の守備がいないスペースでフリーになっている選手が居ないか探し、間の選手を1つ飛ばしたパスが出せないかを見て、最後に隣の選手に横パスやバックパスという選択肢になる。

男子もそうだが日本選手の場合、ひたすら隣の選手にショートパスをつないで、最後に苦しくなったら遠くへ蹴り出すといった風に、パスの優先順位が逆になっている場合が多い。なので、この試合でも日本の選手がボールを持ったら周りの選手はどんどんボールホルダーに対してパスを受けに近づいてしまい、韓国の選手はそれを待ち構えてショートパスをやすやすとカットしてしまっていた。

猶本や上辻もそれに気づいてもっと速いパスを出そうとしていたフシはあるが、普段からそういうプレイをしていないので周りとの呼吸が合わなかったり精度が足りなかったりで、結局ポストプレイの動きに合わせられずカットされてしまう。そして段々自信を失ってもとの無難なプレイに逆戻りというループ。

そういうリズムの悪さもあってか、せっかく日本がポゼッションしてアタッキングサードまでボールを持って行っても、パスコースが無かったらどんどんボールを後ろに下げて行き、CBがプレスを受けないでボールを持てたら「よし、仕事完了」みたいに全体が安堵する空気が感じられ、どれだけチームに自信が欠けているのかと愕然とする思いだった。まあ、それは海外組がズラリと並んだ男子シンガポール戦でもそうだったので余計に絶望は深いのだが(苦笑)。

その点でさすがだったのは後半途中から入った川村と菅澤で、北朝鮮戦ではあまり調子が出てなかったが、韓国戦ではボールを引き出す動きと収めるプレイ、シンプルにボールを出してスペースに動いて受けるという判断が確かで、やはりサブとはいえカナダW杯組はチャレンジなでしことの差がまだまだ大きいなと痛感させられた。

ただ、それもこの大会のような経験をする場が定期的に無ければ、なでしこリーグをこなしているだけではいつまで経っても彼女らに気づきを促す機会はやって来ない。ACLがある男子であってもなかなか難しいのに、女子であれば尚更である。この結果を持って、次に何を見せてくれるのかを辛抱強く期待するしか無い。