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「解離する一方の、ハリルホジッチの理想とアジアの現実」東アジアカップ 日本-北朝鮮

日曜から始まった男子の東アジアカップ。日本は北朝鮮と対戦し、試合開始わずか3分に遠藤航のクロスから武藤が押し込んで先制するものの、その後は北朝鮮のプレスとフィジカルに防戦一方、後半に投入された長身のパク・ヒョンイルに日本のCBが競り負け、2点を取られて逆転負けを喫してしまった。

まあ試合の印象を一言で言うと、「負けるべくして負けた」というところだろうか。東アジアカップに関しては、1トップにポストプレイが上手くない川又、高さのない興梠、SBに藤春と米倉を選出した選手選考を見ても、相変わらず縦に速いサイドアタックを重視するつもりなんだなと思ったし、この試合の先発で左サイドにガンバの宇佐美と藤春を並べたのを見ても、サイドのコンビネーションを重視したのは明白だった。

そして前半の15分間は、その狙いは確かに実現されていた。遠藤航が高い位置に上がってプレッシャーをかけ、ボールを奪って素早く前へ運び、狙い通りにクロスから武藤が飛び込んで先制点を挙げた。が、その後の決定的なチャンスで川又と永井が無駄にタッチをして相手にシュートを防がれてしまった事と、15分を過ぎるともう選手の顔に「試合をペースダウンさせたい」という表情が見え見えになってから完全に日本のサッカーが崩れてしまった。

遠藤のようなコンダクターが不在の日本は、スピードダウンしようとすると単純な横パスとバックパスを繰り返し、苦しくなるとGKやDFが蹴り出す形になってしまい、ボランチの谷口は縦は良いけど展開力に欠け、山口は広大な中盤の火消しに回るだけで、サイドへの正確なフィードなど全く期待できなくなってしまう。

さらに北朝鮮はそこから完全にロングボールを放り込んでセカンドボールを拾う狙いに集中、日本はDFラインがロングボールで押し下げられ、川又はアバウトなロングボールでは到底勝てず、ポストプレイをしても中盤が遠いため精度を欠いて北朝鮮ボールになってしまい、宇佐美と永井は劣勢のサイドで押し下げられてしまって攻撃に絡めず防戦一方。これではやられるのも時間の問題であった。

失点場面でパク・ヒョンイルに競り負けた森重と槙野、パンチとセーブの判断やポジショニングが不安定だった西川も問題だったが、ある意味それは最初から分かっていたわけで、守備の個人能力に難がある日本はボールをある程度ポゼッションし、ラインを上げる時間が作れないとどうしてもジリ貧になってしまうのは、ジーコジャパン時代から散々痛い目に遭って来た話である。

海外組がいない北朝鮮は、さらにこの大会に向けて1ヶ月の練習を重ねて来たと言うし、コンビネーションとコンディション、モチベーションに他の3カ国と戦う前から差が付いてしまっている東アジアカップで、もし本気でハリルホジッチが勝とうと思っているのであれば、攻撃偏重のサイドアタック重視メンバーで行くのは正気ではない。本当にアジアの現実を知らなかったのか、苦戦を承知であえてこういうサッカーをしているのか。もちろん後者である事を願いたいが、残りの2戦でそのあたりに何か光明が見えてくれば良いのだが・・・

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