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ツール・ド・フランス2015 第21ステージ

猛暑に悩まされた今年のツール・ド・フランスですが、最終日のパリ・シャンゼリゼゴールステージは冷たい雨が降り、皮肉にも今大会で最も寒い1日になってしまいました。

パリのシャンゼリゼでは、毎年恒例で高速の逃げが繰り返されるクリテリウム周回コースになっているわけですが、そのコースの多くが滑りやすい石畳という事でステージは順位を争うのみで、遅れによるタイムは集計されず、パリに入った時点でフルームの総合優勝が確定する事になってしまいました。

そしてシャンゼリゼ周回コースに入ってもあまり激しい逃げ争いは起こらず、シルヴァン・シャヴァネルがスプリントポイント後に単独で抜け出し、それに数人の選手が出入りして逃げ集団が形成されただけで、メイン集団も落車を警戒してか各選手の車間がいつもよりも大きく散漫な集まりという感じ。そして大きな混乱もなレースはく淡々と進んで勝負の最終週。

ゴール前のリヴォリ通りで落車はありましたが先頭の方には特に影響がなく、最後は各チームのスプリンターがラストを争う展開に。先に飛び出したのはクリストフですが、ここまで今大会3勝を挙げているグライペルが余裕を持ってクリストフを交わすと、フランスの新鋭スプリンター、コカールの猛追を退けて4勝目のゴール、盤石の強さを見せました。

もう1人の優勝候補だったカヴェンディッシュは、体調不良の影響かスプリントを開始する前に諦めてしまいました。そしてサガンは結局未勝利のままでマイヨ・ヴェールを獲得。主催者は、サガン対策として順位によるポイント格差を増やす対策をしたそうですが、そんなものは屁のつっぱりにもならないオールラウンダーぶりで、平地でも山でもポイントを稼ぎまくりました。

今年のツール・ド・フランスですが、後半の山岳ではフルームとキンタナ、バルベルデとの間で熱いバトルが繰り広げられただけに、前半の度重なる落車アクシデント、中盤の山岳でのフルーム独走が無ければもっと盛り上がったのにと残念な思いが残る大会になってしまいました。

特に、注目度合いでは薄れがちな序盤ステージに、石畳のパヴェや、クラシックレースコースを交えて視聴者が注目する「売り」を作ろうという主催者の意図が読み取れるのですが、昨年もそうですが早々に本編の楽しみが薄れてしまうようなアクシデントが起こってしまったのでは本末転倒です。

無線技術の発達によるチームの戦術強化と選手の分業化、体調管理技術の向上、自転車機材の発達によってレースの平均スピードは年々向上していますが、人間が操る自転車で道路を走るという根本は変わっておらず、選手の心身にかかるストレスは増大する一方であり、それが廻り回っていつまで経ってもドーピング問題が無くならない要因になっていると言えます。

ツール・ド・フランスは確かに見ていて楽しいスポーツですし、何だかんだで毎年サッカーを差し置いて没頭してしまう魅力があるわけですが、やはりそろそろ根本的な部分で、自転車ロードレースというものを変える必要があると思ってしまうのは私だけでしょうか。

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