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「まだまだピルロや遠藤に学ぶべき中村俊輔のボランチ」J1 2ndステージ第3節 ガンバ大阪-横浜Fマリノス

この試合は、珍しく関西の地上波で短縮放送をしていたんだけど、遠藤彰弘がテレビ解説者で、テロップに「遠藤保仁の兄、遠藤彰弘が解説」と常時表示されていて、なおかつガンバ寄りの解説をさせられていたのには苦笑してしまった。そりゃ確かに兄貴だろうけど、現役自体は対戦相手である横浜Fマリノスの選手だろうに・・・(苦笑)

という話はともかく、この試合で個人的に注目したのは今年のJ1 1stステージのほとんどを欠場していた横浜Fマリノスの中村俊輔。怪我の間に、モンバエルツ監督はある程度速攻型のチームに作り上げてしまったので、ポジションがフリーダムで遅効向きの中村をどう使うのかと思ったら、2ndステージはボランチで起用してきた。

これは、ユベントスのピルロやガンバの遠藤に見られるような、主に攻撃の組み立てを一手に担うアンカーとして働いてもらい、前線のプレスや飛び出しといったインテンシティの高い仕事は他の選手に任せ、なるべくゾーンを崩さずに速攻のベースを維持させようという目的だろう。中村自身の役割としては遠藤、チームの狙いとしてはユベントスに近い考え方だろうか。

しかし前半はFマリノスの攻撃はほとんど機能していなかった。中村にはマークを付けられて彼になかなかボールが回って来ず、逆に中村が囮になってファビオがゲームメイクする形になってしまい、中村も中盤でウロウロするだけで攻撃的な位置でほとんどプレイする事が出来なかった。

ガンバの遠藤は、前線で空いたスペースがあるとスルスルと入り込んで気がつけば決定的なラストパスを出したりするのが得意なのだが、中村はセルティック時代から自ら前線に上がるプレイが苦手で回数も相当少ない。そしてユベントスのピルロほど、全てのボールが集まって来るような共通意識がなく、ロングパスを活かすサイドの上がりが多くないので、展開役としても機能出来ていない。狙いとしては納得できるが、個人としてもチームとしても完成度が低いと言える。

ただ、後半12分に栗原を下げてファビオがCBに移り、兵藤がトップ下のような形になる中盤ダイアモンドの4-1-3-2になってからは流れが良くなった。兵藤が守備を引き連れるので中村へのプレッシャーが減ってボールをさばけるようになり、SBの上がりも活発になってパスコースが増え、直後に2点目をガンバに決められたがそれ以降は完全にFマリノスのペースになった。

そして何と言っても、後半ロスタイムの94分になってからの、ノイアーでも取れないパーフェクトなFKゴール。そのファールを犯したのがガンバの遠藤というのも皮肉だが、やはりこれがあるから中村はチームに入れておきたい選手なんだよね。ゾーン重視のチーム戦術を考えると、中村はやはりトップ下よりはボランチに置くべきなのは間違いないので、これからどうユベントスやガンバのように確かなものに出来るか注目したい。

ガンバは80分間試合をコントロールしていながら、終盤に2失点。中村のFKはしょうがないにしても、1失点目の丹羽の軽い対応は仮にも代表選手としていただけない。遠藤が疲れて前線が走らなくなると、CB2人と今野でどれだけ耐えきれるかになって来る。3バックの採用なども含め、どう試合を終わらせられるか対策を考えないと今のままでは優勝は厳しいのではないだろうか。

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