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ツール・ド・フランス2015 第10ステージ

今大会で最初の超級山岳、ラ・ピエール・サンマルタンがゴールのステージとあって、総合優勝を狙うエース同士の熱いバトルが繰り広げられると皆が思ったはずだったのですが、蓋を開けてみるとフルームとチーム・スカイが圧勝、ツールは2週目最初の日にして既に総合優勝争いがほとんど決まってしまう結果になってしまいました。

ラ・ピエール・サンマルタンの登りでは、早々にニーバリが遅れ始めるとコンタドールも体調不良で脱落、それ以外のライバルも残り6kmでフルームがスパートするとついて行けなくなり、ラストの勾配が緩い地点ではアウターにかけて時速35kmで飛ばすフルームは、キンタナに1分の差を付ける圧倒的な速さでゴール。しかもチームメイトのリッチー・ポートがキンタナをゴール前で交わして2位に入り、ボーナスタイムまで奪う無慈悲さ。

キンタナのモビスターは、8km地点でバルベルデがアタックをかけるなどチーム・スカイに何とか揺さぶりをかけようとしていましたが、チーム・スカイは各チームのエースが脱落して後もリッチー・ポートとゲラント・トーマスのアシスト2人が先頭集団に残る盤石ぶりは崩れず、他のチームはまるごと玉砕してしまいました。

しかし正直なところ、このフルームによる早いタイミングからの圧倒的なスパートを見ると、かつてランス・アームストロングがツール・ド・フランスで見せた姿を思い起こさせて仕方ありません。もちろんそれは、「例の問題」も含めての連想です。

フルームだけが強いならともかく、今シーズンは全く良い所が無かったリッチー・ポートまでがアシストをこなしながら2位の快走、ゲラント・トーマスも7位というのは相当不自然な強さだと言わざるを得ません。チーム全体が異常に強い場合は疑ったほうが良いと語ったのはタイラー・ハミルトンですが、このステージのチーム・スカイはまさにそのパターンと言えるでしょう。

最近はバイオロジカル・パスポートで血液の記録を残して比較する検査が行われていますが、結局ランスの問題も引退まで発覚しなかったわけですし、現在でも検査でばれない手段があってもおかしくなく、しょせんはイタチごっこだと思っています。

自転車や陸上競技での発覚が相次いでいますが、サッカー界でも自国開催のW杯で異常な運動量の快進撃を見せた国や、自国リーグとチャンピオンズリーグの過密スケジュールでも軽々とハードワークするクラブがあるなど、怪しいと見られるパターンは散見されます。サッカー界は自転車とは比較にならないぐらいにビッグクラブの権力が大きいですし、FIFAは自転車のUCI以上に自浄能力が疑わしい機関ですからね。

まあ、私が自転車レースを好きなのは単純な競技性だけじゃなくて、風景や観客の応援姿などを含めて魅力を感じているからなのですが、やはりこういう問題が頭に入って来てしまうとゲンナリします。何とか、後のステージでライバルに頑張ってもらって、本当にたまたまこの日がチーム・スカイだけ調子が良かったのだと思えるようになって欲しいですな。

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