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「手倉森ジャパンは”アギーレ・ハリルのいいとこ取り”で一皮むけた?」国際親善試合 U-22日本代表-U-22コスタリカ代表

確かにU-22コスタリカ代表は完全なベストメンバーでは無かったようだし、コンディション的にもそれほど整っている感じはせず、中央突破に固執した攻めで単調ではあったが、そういった部分を差し引いても手倉森ジャパンが安定した試合運びを見せた試合であった。

何より、これまでコロコロとフォーメーションは変えるけれども、チームとしてこういうサッカーを目指すのだというスタイルがいまいち見えてこなかった手倉森ジャパンにとって、ハリルホジッチの縦に早くワイドに攻めるサッカーが加わった事で、ようやくチームの柱らしきものが見えてきたように思う。そしてさらに興味深いのは、手倉森ジャパンにはハリルホジッチに加えてアギーレのテイストも残されているところだろう。

ハリルホジッチの場合、CBよりもボランチがゲームメイクをする事が多いのだが、手倉森ジャパンはアギーレジャパンと同じようにボランチの遠藤がDFラインまで降りて来て3バックのような形になり、その遠藤や岩波、植田から高い位置に居るSBへサイドチェンジをバンバン飛ばしていて、遠藤>亀川>野津田の流れで生まれた先制点はまさにその形だった。そしてコスタリカが中央突破に偏ってしまったのも、日本がサイドの主導権を握ったからだと言える。

そしてもう1つのポイントはJリーガーの成長。この試合の遠藤は下がってはサイドチェンジ、中央では確実なボールキープからスルーパスと、まさに手倉森ジャパンは彼のチームと呼んで良いぐらいに攻守の要となり、横浜Fマリノスの喜田と亀川は豊富な運動量でチームを支え、植田と岩波はこのレベルなら安定感があり、松本から選出の前田は後半消えたがそれまではキレのある動きを見せ、金森の豪快なミドルはラッキーボーイの予感を感じさせるものだった。手倉森ジャパンの常連である野津田、中島はもちろん、南野や久保もうかうかできないぐらいに層が厚くなってきた。

ただしまだまだ課題は少なくない。前半にDFラインを抜けださせて櫛引がシュートをブロックした場面のように、中盤でパススピードの遅い横パスをちまっと回してしまう危険なプレイは多いし、2人目、3人目の動きが無くてボールを持ってから考える場合もまだまだ多い。中島のドリブルが目立つのは、決して良い事ばかりではないのだ。

そしてフル代表がシンガポール戦で苦しんだように、アジア最終予選で戦う相手はコスタリカのように前へ出て来るチームばかりではない。ヨルダン、カタール、シリア、UAE、イエメン、ベトナム、タイあたりは必ずシンガポール戦の再来を狙って来るはずだ。守りを固めるチームを崩すためにも、今は誰もフィットしているとは言いがたい1トップの軸となる選手を固める必要がある。最終予選まであと半年とのんきに構えているとあっという間だ。

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