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「鉾がいくら最強でも1本しか持てません」コパ・アメリカ2015 グループB アルゼンチン-パラグアイ

2002年の日韓W杯にも出場していたロケ・サンタクルスが、前髪が寂しくなった33歳になっても先発起用せざるを得ないぐらいにタレント不足のパラグアイ。それに対して、テベスやイグアインといったワールドクラスのFWでさえサブに追いやられるアタッカー飽和状態のアルゼンチン。

当然、前半の36分までにパラグアイのバックパスミスによるアグエロのゴールと、メッシのドリブルで守備を引きつけてからのパスでディマリアが倒されたPKでアルゼンチンが2点を先行した時には、もうこれで試合は決まってしまったなと誰もが思ったはずだろう。ところが、ブラジルW杯であれだけ守り倒したアルゼンチンの守備が、脆弱なはずのパラグアイ攻撃陣にここから2点を奪われてしまうのだから不思議なものである。

その要因は伝統的に強みを持っているパラグアイの守備力。南米らしくゾーンから早めのタイミングでマンマークに移行する守備組織は、前半こそメッシの個人技に振り回されはしたが、そこからはチャンピオンズリーグ決勝から1週間しか経ってないのもあってメッシのペースが落ちるとアルゼンチンの攻撃は個人技頼みになってしまい、パラグアイGKシルバがナイスセーブを連発して追加点を許さない。

そしてメッシの功罪。フォーメーション的には右ウイングになっているが、実際は完全なフリーマンで中央や左でウロウロしており、そのスペースをカバーするためにSBが上がって来ざるを得ない。すると当然DFラインやボランチはそれをまたカバーするポジションを取らねばならず、中央が薄くなってしまう。本田と香川が中に入りたがるザックジャパンでも良く見られた構図だ。その守備バランスの悪さが、後半15分に中央突破からバルデスが決めた場面に繋がったと思う。

アルゼンチンは豪華過ぎる攻撃陣に比べると、やはり守備陣と中盤のタレントは一段落ちてしまう。パストーレはまずまずだったが、マスチェラーノも疲労の影響かW杯ほどの支配力は無く、後半はアルゼンチンの守備に出来たスペースを埋めきれなかった。

後半45分にFKからダ・シルバが頭で落としたボールを、これまた日本人にはかつてはドルトムントで香川のチームメイトだったという事で馴染みのあるバリオスがダイレクトで決めたのだが、地を這うような強烈なボールがゴール隅に飛び込む見事なシュートで、これはアルゼンチンどうこうよりもバリオスを褒めるしか無い。

これが日本だったら前半のうちにアルゼンチンに2点を取られたらそのままズルズル行ってしまいそうなものだが、いくら南米予選で始終顔を突き合わせているとはいえ、パラグアイの粘り腰はお見事というしか無い。こういう試合が日本も出来るようになって欲しいねえ・・・

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