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「香川から柴崎に交代した”スイッチャー”としての役割」キリンチャレンジカップ 日本-イラク

昨日は帰宅が遅くなってしまったので、1.5倍速で試合を見たために印象寄りになってしまうがご容赦。

個人的な観測では、イラクはもっと守備を固めてカウンター狙いで来るかと思ったし、それで日本が苦労するほうがシンガポール戦に向けて有益だろうなと思ったんだけど、意外にもラインを上げて真っ向勝負を挑んで来た。

しかしイラクにとって完全に誤算となったのは、日本の攻撃がザックジャパンやアギーレ時代の遅効、つまりFWに縦パスを当てて本田や香川が拾ってサイドに展開、長友がオーバーラップしてクロスという攻撃から、ハリルホジッチ流の縦に速い攻撃へと完全に脱却していた事だった。

イラクの守備はマンマーク気味に、岡崎や本田がポストプレイで下がったり、バイタルにいる香川に対して激しくマークをして来たのだが、いきなりそこをすっ飛ばして柴崎が本田にスルーパスを通して日本があっさり先制点を奪ってしまったために、イラクの守備はたちまち混乱してどう守って良いかが分からなくなり、前半のイラクはわずかシュート1本、危ないシーンは26分に酒井の軽いプレイで抜かれた場面ぐらい、それもあえて挙げればというぐらいに圧倒していた。

2点を取ってからは日本はチーム全体の重心を下げ、後半になってからはイラクも守備を修正し、マンマークからある程度ゾーンを作って対応、選手も練習の疲労もあるのか集中力を欠いたプレイが散見され、20分を過ぎて試合がダレかかったところで前線を3枚交代。武藤、原口、永井の2列目は余計に縦、そして中へと攻撃を急ぎすぎて渋滞状態にはなったが、39分に柴崎から永井が落としたボールを原口が拾い、ドリブルからのシュートが決まって望外の大勝になってしまった。

試合を見ていて一番印象的だったのは、日本の攻撃の変化によって、それまで中心的な役割を果たして来た香川と長友の存在感がすっかり薄くなってしまった点である。

それまでの日本は、香川がバイタルでボールを受けて前を向いた時、長友が猛然とオーバーラップを仕掛けた時に始めて攻撃のスイッチが入っていたわけだが、今はスイッチを入れる役割が柴崎に移ってしまっているため、そのスピード感覚にどう対応して良いか戸惑っているように見える。

本田はミランで3トップの一角として裏を狙う事を意識したプレイをしているし、宇佐美はドリブルを仕掛ければ独力でスピードアップ出来るし、岡崎の動き出しは今更言うまでもない。しかし香川も長友も、所属チームがそこまでスピードアップした攻撃が現状は出来ていない影響が出ているように思う。

逆に言えば、じゅんいちダビッドソンじゃないが日本にはその分伸びしろがあるとも言えるわけで、香川や長友がハリルホジッチサッカーに順応してハイスピードな攻撃を担うようになれば、それがまたドルトムントやインテルにも良い影響を与えることになるのではないかと思っている。是非、シンガポール戦では彼らに活躍してもらって、ここからさらに一段アップした日本が見たいものである。

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