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「勇気を出して勝負に負けたユベントス」UEFAチャンピオンズリーグ決勝 バルセロナ-ユベントス

ベルリンのオリンピア・シュタディオンで行われたUEFAチャンピオンズリーグ決勝は、試合早々に先制されたユベントスが粘って後半に追いつくものの、バルセロナはそこから2点を追加して地力を発揮、下馬評通りに優勝を飾った。

この試合を見始めて個人的におやっと思ったのがユベントスの戦術だった。相手がバルサだけに、5バックや4-1-4-1のような守備的フォーメーションにするかと思ったのだが、実際はイタリアでトレンドになっている中盤ダイアモンド型の4-3-1-2。それも序盤は、トップ下が下がる4-4-2にシフトするではなくて、ビダルが前からプレスをかけに行く攻撃的シフトを採って来た。

狙いとしては、バルサの両CBをユーベのFWがそれぞれマーク、アンカーのブスケツをビダル、ラキティッチとイニエスタはポグバとマルキージオが見てバルサのビルドアップを阻害しつつ、アンカーのピルロの守備負担を減らすというところだったのだろうが、このマッチアップだとバルサの両SBがフリーになるため、そこをバルサに狙われてしまった。

開始4分のバルサ先制点は、SBの位置にまで下がったメッシが左サイドのアルバへ長いサイドチェンジのパスを通した事が基点になり、最後は中に飛び込んだラキティッチがゴールへ流し込んだのだが、この場面では攻撃に出ていたビダルが慌ててラキティッチを捕まえようとするのだが間に合っておらず、ユベントスの戦術的な穴を見事に突いた攻撃だった。

さすがにこれでアッレグリ監督も戦術を修正し、ビダルをボランチに下げた4-4-2にして低めの位置に堅いブロックを作り、それでもバルサは何度か危険なシュートを放つがユーベ守護神ブッフォンがそれをことごとく弾き返す。そして後半10分に、マルキージオのヒールからリヒトシュタイナー、テベスとボールが渡り、シュートはテア・シュテーゲンが一度は防ぐものの、こぼれ球をモラタが冷静に押し込んでユベントスが追いつく。

この後2度目におやっと思ったのは、ここからユーベがラインを上げて攻勢に出て来た事。イタリア勢らしく同点のまま変わらずじっくり守り、セットプレイなどで勝機を見出すかと思ったのだが、意外なことにユーベはオープンなサッカーで畳み掛ける手段を選んだのだ。そして実際に得点から10分の時間帯は、テベスやモラタ、ポグバが際どいシュートを放っており、もしここで1点入っていればこの狙いは大当たりになっていたかもしれなかったが、現実にはその賭けは裏目に出てしまった。

やはり前がかりになって後ろにスペースを作ってしまうと、恐怖のMSNカウンターが炸裂してしまう。後半23分にメッシがセンターサークル付近から高速ドリブルでゴールに迫り、鋭いシュートは何とかブッフォンが弾くもののスアレスが抜け目なく押し込んで再びバルサがリード。もうユーベにそこから反撃を仕掛ける体力は残っておらず、ロスタイムにネイマールがカウンターからダメ押し点を決めて試合終了。

結果には繋がらなかったユベントスの賭けだったが、あと一歩までバルサを追い詰めた選手の頑張りは見事だったし、おかげでとても盛り上がった決勝戦になった事には感謝したい。しかしこのレベルで戦える日本人選手が出て来て欲しいねえ・・・

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