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「笑顔無き、柏のベスト8進出」ACLベスト16第2レグ 柏レイソル-水原三星

ロスタイムの3分あまりが終了して柏がベスト8への勝ち抜きを決めた瞬間、この試合単体では負けたという事実もあるのだろうが、柏の選手にはほとんど笑顔が無くて一様にこわばった顔になっていたのが試合の厳しさを物語っていた。

柏の試合への入りはそれほど悪くなかった。ホームでの第1レグで2-3で負けている水原は、試合開始から当然のようにハイプレスをかけて来て、柏の4-3-3フォーメーションに対し、4バックには1トップのチョン・テセとウイングがプレッシャーをかけ、柏のビルドアップを司る茨田に対してはチョン・テセとトップ下の選手2人で前後から挟み撃ちにし、インサイドハーフの大谷と小林祐介にもダブルボランチがマークと、柏の守備選手に対してほぼマンマークを当てるという策に出てきた。

しかし柏も序盤の激しいプレスが落ち着くと、大谷がアンカーの位置まで下がってボールを裁き、相手を引き連れて出来たスペースを輪湖が使い、といったような縦の流れでリズムを作り、そこからサイドに展開して数的優位を作り出す得意な形に持ち込み始める。ところが好事魔多しで、26分に左サイドのクロスを受けたチョン・テセへのマークが遅れ、ワントラップで反転からシュートを決められてしまう。

これで勢いが出た水原に対して柏は一転して防戦一方。茨田はDFラインに吸収されて常時5バック状態になり、工藤もクリスティアーノもサイドで押し下げられてレアンドロが孤立、ボールの預けどころがない守備陣は適当なロングボールを蹴ってはセカンドボールを拾われとACLでは毎度おなじみの悪循環にどっぷり嵌ってしまう。それでも前半のうちは何とか凌いでいた柏だったが、後半9分にセットプレイからのこぼれ球をク・ジャリョンに押し込まれ、とうとう柏がアグリゲートスコアで水原に逆転されてしまう。

それまでのプレスを弱めて守備にシフトした水原に対し、柏もようやくボールを保持できるようになるが、なかなかサイドの高い位置までボールを運べずもどかしい流れが続く。が、20分に左サイドでのパス交換からクリスティアーノが抜け出し、中央でボールを受けたレアンドロがゴール前に切れ込み、シュートは相手のブロックに止められてしまうが、こぼれたボールを小林祐介がダイレクトで叩き、ゴールマウスに入った選手の頭を超えて値千金のゴール。

アウェイゴールで再び逆転された水原は、そこからチョン・テセを目掛けて徹底したロングボール攻撃に出て、後半だけで水原にCKを10本以上与える苦しい展開に。そしてせっかくのカウンターチャンスもシュートミスやオフサイドでフイにしてしまい、悪い流れを断ち切るチャンスを柏はモノにできず。最終盤は大きなクリアやなりふり構わぬボールキープで、まさに命からがら柏は逃げ切った。

第1レグのようなクロスへの対応は改善され、フリーで上げられまくりというのが無くなって守備の時間帯でもある程度の安心感はあったが、やはり前線にボールが収まる選手が居ないとラインが上げられず、ゾーンを整える時間が無くてバランスを崩す場合が何度もあったのは問題である。ロスタイムに時間稼ぎのように出場したが、好調なら大津はそれが可能な選手だと思うので、彼をどう上手く起用するかがベスト8でのポイントになりそうだ。

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