旧閑ガゼッタ

「フィッカデンティ監督は着実にザッケローニ化が進行している?」ナビスコカップ グループA FC東京-ヴァンフォーレ甲府

イタリアのセリエAで流行りつつある、中盤ダイアモンドの4-3-1-2のフォーメーションをFC東京も採用していると聞いて、さすがフィッカデンティ監督はイタリアのトレンドをキャッチアップしてるなと期待して試合を見てみたら、全然違うものが出て来て唖然としましたとさ。

イタリア式4-3-1-2は、ゾーン・ディフェンスをベースに中盤の3枚がボールサイドにスライドし、空いた中盤のスペースをSBが上がって埋めたり、トップ下または2トップの1人が下がる事で守備のバランスを保ちつつ攻撃的にも守備的にも性格を変えられるのが特徴なのだが、東京は前も後ろもほとんど中盤を埋めに来ようとはしなかった。

甲府の3トップはマイボール時でもどちらかのシャドーが中盤に下がるので前線には1人もしくは2人しか居ないのだが、そんな2人以上の数的優位でも東京はDF4人がきっちり並んでSBが上がることは無く、前線の3人は高い位置でやたらとポジションチェンジをするので、中盤の3人がどうスペースを埋めて良いか分からず右往左往してゾーンを作るどころじゃなくなっている。まるでかつてのザックジャパンのようだ。

しかもインサイドハーフの三田と米本は攻撃時にパスコースを作るために高い位置取りをする事が多く、守備ではやたらと人に食いつきたがるためにアンカーの両脇には広大なスペースが生まれてすっかり高橋が涙目状態。甲府のカウンターに対してDF4人+高橋しか居ないという場面はザラだった。

幸いにして甲府は、カウンターでフリーな状態で前を向いてもそこからどうシュートまで持って行くかの共通理解が無く、迷った末に適当なクロスやシュートを打っては枠の外みたいな攻撃ばかりだったので助かったが、とてもイタリア人監督が率いているとは思えない守備組織のバラバラぶりであった。

さすがに後半からはフィッカデンティ監督も修正してきて、米本と高橋でダブルボランチを組んだ4-4-2に移行し、これでようやく守備も安定したのだが、後半40分に珍しく甲府がカウンターから早いタイミングでサイドへとパスを展開し、そのまま松田をぶっちぎった山崎に独走ゴールを決められて同点に追いつかれてしまう。

しかし東京は後半ロスタイムに、FKから林が頭で折り返したボールを飛び込んだ武藤が決めてこれが決勝点になったのだが、タイミング的にはどう見てもオフサイドであり、この失点で負けた甲府はナビスコカップグループリーグ敗退が決まるという、何とも後味の悪い決着になってしまった。

FC東京は勝ったとはいえ、まるでレアルにおけるクリロナのような存在感を示している武藤がマインツへの移籍が秒読みという話で、彼が退団した後の苦戦が容易に想像できる。現在の守備戦術の不調が、監督の指導の問題なのか、選手の練度の問題なのかは分からないが、対戦相手ごとはもちろん試合中にでも戦術を変更したがる癖をまず止め、基本的な4-4-2のゾーン・ディフェンスをきっちり仕込む事が先なのではないかと思うのだが・・・