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「ミランの問題点は、攻撃を支えるはずの土台が皆無なこと」イタリア・セリエA第36節 サッスオーロ-ミラン

前節は強豪ローマ相手に2-1で勝利し、復活の狼煙を揚げたかのように見えたミランだったが、アウェイでの13位サッスオーロ戦では2人が退場してしまった上にベラルディにハットトリックを決められる無様な敗戦を喫し、これで完全にヨーロッパリーグへの可能性は消滅してしまった。

とは言え、ミランは攻撃面ではそれなりに良いところもあった。ローマ戦で2アシストを決めた本田はこの試合でも好調をキープ、サッスオーロはローマと比べてSBの本田に対するマークが厳しかったが、それでも上手くフェイントで入れ替わって抜け出したりと、パスの精度は今ひとつではあったがミランの攻撃をけん引する存在であった。そしてアバーテの怪我(?)によって後半からインサイドハーフに入ったスソが効果的で、機敏な動きで何度もボールに絡んでは正確にパスを繋ぐという、今までミランに存在しなかったパーツがやっと来てくれたという印象が強い。

この試合の勝敗を決定的に左右したのは、いずれも軽率なプレイで後半12分に2枚目のイエローで退場してしまったボナヴェントゥーラにあるのは明白だが、今シーズンずっと抱えている真の問題はミランの守備にある。

GKのアッビアーティは衰えが目立ち、ディエゴ・ロペスはこの試合の先制点でベラルディの何でもないシュートをファンブルして後逸したように安定感に欠けるし、現代のGKに求められる守備範囲も広くない。アレックス、パレッタ、メクセス、ボネーラといったDF陣は決してワールドクラスではない。そして何より、インザーギ監督に守備組織を整備する能力が欠けている事が厳しい。

ミランの守備は一応ゾーンらしきものは組んでいるのだが、DFラインの位置は常に相手FWが立っている高さにあり、ゾーン・ディフェンスの基本であるボールの動きとは全く連動していない。当然ながら前線とは距離が離れてしまうので、運動量のあるポーリ、アンカーの経験が豊富なデ・ヨングといった選手を起用しないと中盤が持たない。そして本田のようなコンビネーションを重視する選手は孤立し、メネズのような個人打開力のある選手に頼るしか無くなってしまう。

ガリアーニ会長は、来期は素晴らしい補強をすると語っていたようだが、ザックが言うように高額な攻撃スター選手をいくら突っ込んだところで、その土台が腐っていたら倒れてしまうだけである。

本田のプロ意識を高く買って起用してくれるインザーギ監督はありがたい存在ではあるのだが、ミランの将来を考えたらよほど守備戦術を構築できるコーチを補強しない限りは、今期限りでの監督交代は必然であるように思う。つーか、全く同じ失敗をセードルフ監督の時にやっているのに、性懲りもなく繰り返すミラン首脳陣はいったいどうなってるのかと不思議でならない。クラブから何の援助もされずただ使い捨てられるレジェンド達が不憫でならないのだが・・・

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