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「ハノーファーは残留まで王手だが、日本人には居残り宿題がたっぷり残される」ドイツ・ブンデスリーガ第33節 アウグスブルク-ハノーファー

もうダメだろうと思われていたシュツットガルトがここに来て2連勝、そしてフライブルクが何とバイエルンに勝利するアップセットで、凄まじい泥沼と化しているブンデスリーガ1部の残留戦線。

勝ち点をゲットしても引き分けばかりで、何と昨年の11月から公式戦で勝利が無くその泥沼に首まで浸かっていたハノーファーだったが、5位のアウグスブルクとのアウェイ戦で2-1と殊勲の勝利を挙げて残留圏内の15位に浮上した。

昨日見たマインツ対ケルンの消化試合とは違って、ヨーロッパリーグ出場権がかかっているアウグスブルクとの試合は真剣味が全然違い、序盤から激しい局地戦が展開される内容になった。

ブンデスリーガの上位に付けているチームと下位で苦しんでるチームを分けるポイントは、どれだけ攻めの幅を持てるかではないかと思っている。アウグスブルクの場合は、ボバディージャという1トップとしては理想的な能力を持った選手を抱いていながら、彼へのロングボールに頼らずDFやボランチがサイドチェンジを多用し、ワイドに攻めて相手の守備を広げつつ押し下げる形をしっかり持ち合わせているところが強みだろう。

それに比べるとハノーファーはとにかく長いボールをトップに当てて、それを清武や中盤の選手が拾う形でしか攻撃が存在しない。が、1トップで主に起用されていたホセルやコナンがいまいちボールを収められず、結局ボールが前後に行ったり来たりするサッカーになっていたのだが、この2試合で先発起用されているフランス人のブリアンが意外な当たりになっている。

ブリアンは、それまで縦の動きしか出来なかったハノーファーの前線に比べると、サイドなど幅広く動いてボールを引き出す動きをしていて、意外と足元が柔らかくてボールが収まる。前半24分の先制点も、右サイドでフリーになった清武からグラウンダーのパスを引き出すと、DFを引き付けながらダイレクトで後ろへはたき、飛び込んだシュティンドルが決めたもので周りも良く見えている。

ただ、1トップが広く動くようなチームの場合、トップ下の選手はなるべく前線へと顔を出して1トップとつるべの関係を築くべきなのだが、その点で清武はまだ物足りない。何度かあったカウンターの場面でも、自らはゴールに飛び込まず一歩足を止めてバイタルへと引いてみたり、わざわざ大回りしてファーサイドで待ち構えてみたりと、どうしてもゴールを決めるよりラストパスのためにポジションを取るような意思が見て取れた。

こういう消極的な姿勢はずっと清武に付きまとっている問題であり、現代サッカーではトップ下とはゴールを決める選手であり、ラストパスはもはやボランチやDFの仕事になっている。シュートの精度やプレイスタイルを考えればボランチが適正なポジションなんだろうと思うが、守備力を進んで向上させようという気概も見られない。もういい加減、解説の永島氏が語っていたように「良い選手」から「怖い選手」へ脱皮して欲しいものなのだが・・・

そして2枚のイエローで退場してしまった酒井宏樹。1枚目のイエロー+PKはスライディングがボールに行っていたと見えなくもないが、2枚目は明らかに肘を使っていて妥当。60分過ぎには幸いにもファールは取られなかったがPA内でボールを手に当てているし、相変わらず軽率な、その場の勢いに任せたプレイが多すぎる。無理な1対1の体制になるのもポジショニングが悪いせいで、それもずっと変わってない課題である。

最終節は、ハノーファーは同勝ち点のフライブルク、最下位のパダーボーンは16位のシュツットガルトという壮絶な直接対決が待っている。もしハノーファーがフライブルクに負けると、他の結果によっては自動降格圏になる可能性もある。来期の残留を獲得すると同時に、プレイの内容的にも来期に期待を持てるものを見せてもらいたい。

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