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「マンチーニ監督の戦術に見える、インテルが長友を放出する理由」イタリア・セリエA第35節 ラツィオ-インテル

ヨーロッパリーグもこなしていた3月は負けが込んだが、4月になってからは負け無しと調子を取り戻してきたインテル。現在リーグ3位と好調なラツィオとの対戦は、先制されながらも相手が2人退場するというラッキーもあって逆転、後半には怪我をしていた長友も途中出場で復帰し、最終的には2-1で勝利を飾った。

最近のインテルが使用しているフォーメーションは、エルナネスがトップ下に入った中盤ダイアモンドの4-4-2。割りとオーソドックスなゾーン・ディフェンスを使って来るマンチーニにしては、ゾーンを作りにくい形である中盤ダイアモンドをどうするのかなと思って見ていたのだが、アンカーの両脇のスペースについてはボールサイドのインサイドハーフが降りて来てカバーし、ファーサイドはインサイドハーフは3トップになる位置まで上がり、そこにはSBがアンカーの高さまで上がって3人の中盤ゾーンを形作る連携になっていた。

これだとSBの選手は、自分と逆サイドのSBが中盤に上がっている時には内側に絞って3バックのDFとして役割を果たさなければならず、ゾーン・ディフェンスにおいて中盤選手が行うディアゴナーレに対する理解と同時に、CBとしての高さやポジショニングが必要になって来るわけで、どちらも世界レベルからすると足りない面が多い長友が、インテルの放出候補として度々名前が上がって来るのは仕方ないように思えてしまう。

が、前半8分に喫したラツィオの先制点は、まさにそのインテルの守備組織の脆弱性を上手く突いた攻撃であった。左サイドのスペースに出されたパスに、インテルの右SBダンブロジオが上がってカバーするのだが、1対1で上手くボールを後ろに流され、ダンブロジオが上がったスペースをフェリペ・アンデルソンがドリブルで進み、中に飛び込んだカンドレーヴァが得点した。

そしてインテルの攻撃も、前半24分にオフサイドラインギリギリで抜けだしたパラシオを後ろから掴んだマウリシオの一発レッドからもらったFKをエルナネスが決めて同点にしたものの、後半16分にセービングでイカルディを倒したラツィオGKマルケッティのPKは失敗、その後は9人のラツィオに対して後半39分のエルナネスのゴールまでインテルは攻めあぐねた。

そんな中で後半23分から出場した長友は、復帰をアピールするかのように味方がボールを持ったら躊躇なく攻め上がり高い位置でパスを受けたりマークを引き付ける動きを献身的に行っていた。決定的な仕事こそ無かったものの確実に相手の左サイドを疲弊させ、逆転ゴールに繋がる貢献だったように思う。

確かに今のインテルは以前からするとポジションバランスが良くなって守備の脆さは無くなりつつあるが、やはり点を奪うためにはどこかで決定的に相手を凌駕するプレイが必要になるわけで、長友の運動量とスピードは間違いなくその武器になれる存在だと思っているのだが・・・残り3試合、厳しい立場である事は変わりないが、監督の考えを覆す活躍を見せて欲しい。

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