旧閑ガゼッタ

「落とす時と持ち上げる時の落差が激しすぎるが、本田は何も変わってない」イタリア・セリエA第35節 ミラン-ローマ

4月頭に負った怪我で本田が欠場して以来、5試合勝利無しとまたも低空飛行に陥ってしまったミラン。しかし現在リーグ2位のローマに対してエースのメネズを欠きながら本田の2アシストで勝利したという事で、いつもは酷評ばかりのイタリアメディアはくるりと手のひらを返して本田に高得点、絶賛評価を並べた。

しかし試合を見てみると本田自身のプレイは特に何かが変わったというわけではなく、もともとプレイするスペースが与えられて、周りのサポートがあればきっちりアシストやゴールを決められる選手であり、本田だけを見ればそれほど驚きは感じられなかった。と言う事は、その本田が活躍出来る前提条件が揃っていたという事でもある。

まずローマはあまりにサイドを高く上げすぎてSBのポジショニングがルーズになり、いつもなら相手は右ウイングの本田にはガチガチにSBをマークに付けて来るので、それを嫌って中央に寄ってみたりアバーテの上がりを使ったりするパターンなのだが、この試合ではサイドに張った本田にボールが来ても、対面のトロシディスが離れたままでドリブルに追いつけないシーンが何度もあり、しかも左足のコースを警戒しすぎて右足を全くケア出来ていなかった。ファン・ヒンケルが本田のクロスを決めた先制点場面などは、まさにそのパターンであった。

そしてチームのサポート。前半15分ぐらいまでは、いつもの悪いミランでDFラインと本田ら3トップの間が開いてしまい、ミランボランチの前で簡単にパスを受けさせてしまい、そのままズルズル下がって攻撃陣がさらに孤立という悪循環で、本田もサイドにいてもパスが来ないのでトップ下に陣取る場面が多かった。

しかし何故かそこから守備が修正され、4-1-4-1の形にコンパクトなゾーンを作るようになってから内容が向上した。サイドに基点を作って攻めて来るローマの攻撃をゾーンでしっかり受け止め、デストロもプレスバックを怠らず皆が献身的にカバーし、ボールを奪ったら本田を中心に前線の選手がスペースへと素早く動き出し、そこを基点として全体が攻撃に絡んでいく「全員サッカー」が機能していた。

ボールを持つとまず独力で打開したがるメネズが欠場していたという面はあったかもしれないが、本田もウロウロとトップ下に寄らず主にサイドのゾーンを守って攻撃の基点として献身的に働いていた事も大きかったように思う。いつも各選手の思惑がバラバラ、動き出しのサボりも日常茶飯なミランが何故突然こうなったのかは不思議だが(笑)、大変良い兆候である事は間違いない。

とは言え、ローマはエースのトッティが先発せず、途中出場してからはサイドに偏っていた攻撃の基点にトッティが加わった事でローマの攻撃の厚みが増え、逆に運動量が落ちて来たミランは1点差に迫られるPKを与えるなどバタバタした終盤になったのも事実。勝利に浮かれず、本田を中心とした良い時間帯のサッカーをしっかり継続する努力を最終戦まで見せてもらいたい。