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「恩師クロップのために滅私奉公を選んだ香川」ドイツ・カップ準決勝 バイエルン・ミュンヘン-ボルシア・ドルトムント

まさかあのバイエルンが、それもラーム、シャビ・アロンソ、ゲッツェ、ノイアーというワールドクラスが4人連続でPKを失敗するという信じられない結末と、香川のパスミスが失点につながったという点がクローズアップされてしまったが、グアルディオラとクロップが仕掛けた戦術的な駆け引きにも見応えがあった試合だった。

まずバイエルンが対ドルトムントで立てた対策は、ラーム、シャビ・アロンソ、チアゴ・アルカンタラの3人を中盤並べたところがポイントである。それによってパスの配給どころを増やしてドルトムントのゲーゲンプレスの狙い所を分散させ、シャビ・アロンソは3バックのセンターまで下がってビルドアップを重視してきた。

が、クロップはいつもの4-2-3-1ではなく香川を前線の真ん中に置き、左をロイス、右をオーバメヤンにしたゼロトップ戦術を敷き、最も守備で献身的な香川を前線からのプレス役にして後ろはきっちり4-3-2のゾーンを敷き、ボールを奪ったらロイスとオーバメヤンを走らせる狙いで臨んで来た。

そのドルトムントの手を見てグアルディオラも修正を加え、DFラインはサイドチェンジでドルトムントが敷くゾーンの外側に基点を作ってラインを下げさせ、それまで低い位置でビルドアップに参加していたシャビ・アロンソを高めの位置に上げてセカンドボールに絡ませて来た。

そういった拮抗した流れになった中で、前半30分にドルトムントが迎えたカウンターのチャンス。この場面で香川のパスがボアテングにカットされてしまったのだが、これはボアテングの読みというよりも、PA前でディレイを止めてラインを保つゾーン・ディフェンスの約束事の動きにたまたま引っかかってしまったのではないかと思っている。そしてフンメルスも自陣に残ってしまったためにレヴァンドフスキのオフサイドが取れなかった。香川のミスではあるが、不運と他のミスも重なった失点だった。

リードを許したドルトムントは後半からオーバメヤンを上げて4-2-3-1に戻す。が、やはり中盤力で負けるドルトムントはなかなか香川までボールが渡らず、25分に香川とムヒタリアンを交代して前シーズンに作ったカウンター仕様のチームへと変更する。その2分前には、グアルディオラは2点目を狙って怪我明けのロッベンを投入したのだが、この采配が結果的に勝負の分かれ目となった。

後半30分に右サイドの高い位置でボールを受けたオーバメヤンが中盤にボールを下げるとクバがこれをすぐさま左へ展開、そこに走り込んだムヒタリアンがダイレクトで折り返すと、ファーサイドにいたオーバメヤンがスピードを活かしてボールに触り、それをノイアーが反応してボールをキャッチするもゴールマウスの中でとうとうドルトムントが同点に。

その後はロイスとムヒタリアンに2度の決定機があるも、ロイスのシュートは軸足がファーへ向く打つギリギリまでノイアーにコースを見極められており、ノイアーの貫禄勝ち。逆に延長戦では、今度はバイエルンのシュバインシュタイガーに2度フリーでヘディングの超決定機があるも得点にならず。そしてPK戦はご存知の決着。

香川は、前節もフル出場だったので役目としては攻撃よりも疲れるまで前線でプレスをかける事がメインだったのだろう。まさにお疲れ様だが、次こそは攻撃の主力として働いてもらわないと。あと気になったのは相手とはいえグアルディオラの采配。チームドクターを追い出したと言われているが、その後でロッベンを強行出場させて再度の怪我。もしこれでCLを逃したら、バイエルンでの指揮は今シーズン限りになってしまうかもしれない。そしてその後継にバイエルンが望むのはクロップ・・・?

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