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「原口は、代表で本田のポジションを脅かす第一候補ではないか」ドイツ・ブンデスリーガ第30節 バイエルン・ミュンヘン-ヘルタ・ベルリン

今日になってようやく熱こそ下がったものの、それまで発熱に全力を出していた免疫反応がようやく他の対処にも力を分配できるようになったのか、それまで無かった鼻水とくしゃみ、頭痛、ガラガラの喉という諸症状がてんこ盛りでやっていらして、まだきちんと戦評を書ける状態ではないので今回も簡潔に。

ロッベン、リベリ、シャビ・アロンソがいなくてサブメンバーを3人並べたバイエルンは、スーパーチームじゃなくて単なるポゼッション能力が高いチームに成り下がっていただけに、ヘルタとしては何とかドローに持ち込みたかった試合だったが、後半9分に原口のスルーパスから完全にノイアーと1対1になったシュルツが決められず、35分にヴァイザーがドリブルを仕掛けると原口も味方もまとめて置き去りにされ、シュバインシュタイガーにフリーでヘディングを決められ万事休す。

しかし最後は力負けしてしまったとは言え、ヘルタの戦い方は立派だった。ヘルタのコンパクトなゾーン・ディフェンスに対し、バイエルンはゾーン崩しの王道と言えるサイドチェンジで高い位置に基点を作り、ゾーンをボールサイドに寄せてから中央のワンツーやファーサイドへのクロスなど、これでもかとボディブローのように揺さぶって来たが、最後まで大きな破綻なく耐え忍んでいた。

そしてボールを奪ったら単なるロングボールを蹴るのではなく、原口やカルーといったドリブラーが鋭く飛び出してボールに触り、彼らのスピートと足技でチャンスまで持って行けなくても最初の1対1で勝ちさえすれば、バイエルンの選手が2人で対応に下がる時間が稼げるので、ヘルタは守備を整える時間を持つ事ができるわけだ。

原口については、細貝の通訳のおかげなのか、最初に起用され始めた時のフラフラとボールホルダーに引き寄せられてしまう守備は影を潜め、ゾーン・ディフェンスのスカルトゥーラ、ディアゴナーレの動きを怠らず、まるでポルトガルやスペインの選手みたいに戦術理解度の高い働きをマスターしている事に驚かされる。そしてボールを持ってからの相手との間合い、ドリブルの加速の仕方には自信がみなぎっており、単なる1対1だったら必ずぶち抜いてみせるという意欲をひしひしと感じる。今回はさすがに疲れが出たのかヴァイザーにやられてしまったが、運動量も最後まで落ちない。

これだけ好守でチーム貢献しているのだから、もう原口がこの先レギュラーの座から簡単に退く事は無いはず。それどころか、バイエルン戦の働きを見る限りでは、より大きなクラブから声がかかってもおかしくないのではないかと思う。そしてハリルホジッチ監督も間違いなく戦力としてカウントしているはずだ。

この試合では、先発した時点では今までの左じゃなく右ウイングだったのだが、なかなか良い形でグラウンダーのクロスを上げていた。現在の代表では、左右のウイングは乾や本田、宇佐美といったカットインタイプを置くことが多く、武藤や永井も決してクロッサーではない。そこに原口のようなクロスを得意とする選手が入る事で、チームのバリエーションは広がるはずだ。是非ともイラク戦、アジア予選での招集を期待したい。

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