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「3点差は危険なスコア・・・では困るだろうと」ACLグループE 柏レイソル-全北現代

ここまで日本勢としては唯一順調に勝ち点を伸ばし、首位の全北現代と同勝ち点差で2位に付けていた柏レイソルは、第5節に行われた全北現代との直接対決でも3-2で勝利し、グループリーグで同じ勝ち点ならば当該チーム同士の勝ち点差が優先されるレギュレーションにより、残り1試合を残してグループリーグの首位で勝ち抜きを決めた。

J1第6節の試合を見た限りでは、この戦い方ではACLの勝ち抜きは難しいのではないかと思ったのだが、その予想が覆った要因は間違いなく茨田の復帰だろう。茨田はアンカーの位置でシンプルにボールをさばき、ときにはセンターバックの間に入ってスリーバックのような形でゲームメイクを行い、柏の中盤に対してほぼマンマークのような形でプレスをかける全北のプレッシャーを上手くいなし、サイドの高い位置までボールを運ぶ事が出来ていた。

そして柏は運にも恵まれ、9分に輪湖のCKからエドゥアルドが難しいコースにヘディングを決めて先制点を奪うと、その後は押し上げを強めてきた全北にセカンドボールを拾われ、柏にもつなぎのミスが増えてバックパスからイ・ドングがGKと1対1になるピンチを招くが、ゴールキーパー菅野のファインセーブで事なきを得、そのピンチを脱した直後の武富による追加点と、Jリーグ勢敗戦の「良くあるパターン」とは逆の目が出たのは大きかった。

もう1つの要因は相手の左サイドバック、イ・ジュヨンに対して、柏の右ウイングに入ったクリスティアーノがことごとく1対1で勝ちまくり、3点目の場面もザックリとしたフェイントにまんまと引っかかってフリーで折り返しのアシストを決めることが出来た。ここは柏首脳陣によるスカウティングの勝利と言って良いだろう。

後半も意外と柏は落ち着いて試合に入り、これは安心して見られるかなと思ったのだが、22分にクロスを胸トラップで受けてからオーバーヘッドで決めたイ・ドングのゴールから様子がおかしくなって来た。ここで吉田監督は両SBを同時に変える驚きの采配を見せるのだが、これも結果的には悪手になったように思う。

全北はそこから徹底してSBの裏のスペースにFWが流れて基点を作る狙いに切り換え、特に右SBに入った中谷は攻撃から守備に移るときの反応が遅く、相手のサイドチェンジからの切れ込みに対しても対応が後手に回り、柏はDFラインに人数をかけて5バックや6バックになって耐え忍ぶ時間帯が続き、36分にはまたもイ・ドングのゴラッソなミドルシュートが決まって柏はいよいよ絶体絶命。しかし4分もあったロスタイムも何とかこらえて試合終了。

柏はとりあえず勝つには勝ったが、後半は完全なサンドバッグ状態で最後まで持ち堪えられたのはラッキーだった。やはり前線で工藤1枚だけではほぼ基点が作れないし、クリスティアーノも2~3回あったカウンターのチャンスを雑なフィニッシュをフイにしたのは反省点である。選手層を厚くして効果的にサブを使えるようになる事が、決勝トーナメントで上に行けるポイントになりそうだ。

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