サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「2試合連続の劇的ロスタイム勝利を支えたベテランの力」ACLグループH ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ-鹿島アントラーズ

この試合に負ければグループ敗退が決定、引き分けでもFCソウルの試合次第ではダメという背水の陣となった鹿島とWSWの試合は、前半にリードを許してしまう苦しい展開ながら、後半21分に土居のゴールで同点に追い付くと、後半ロスタイムに金崎のゴールで逆転し、自力突破の可能性を残す大きな勝ち点3となった。

確かに展開的には非常にドラマチックではあったのだが、単純に内容だけ見れば鹿島はもっと楽に試合を決めてしかるべき試合だったように思う。

WSWの守備はDFラインこそそれなりに揃ってはいるが、中盤がほとんど組織化されておらず、約束事による連動ではなくて各自がその時の判断でマークに行ったりスペースを埋めたりしているようで、ボールサイドに人が集まってしまう事が多く、ボールを動かしていると鹿島が簡単にボールをフリーで扱えるエリアが出来てしまう状態だった。

しかし鹿島の側にもミスが多くて、もとから守備を棄て気味でバイタルエリアのフリーマンになる事が多かったWSWの高萩が絡んでチャンスメイクされるシーンが多く、案の定前半24分に高萩らしいアウトサイドのパスに対する処理を植田が誤って後逸、そのこぼれ球をルカヴィツヤに押し込まれて先制を許してしまう。

WSWの左サイドは、SHが高萩洋次郎、SBが田中裕介という日本人2人による縦のラインだったのだが、クラブが豪州に移っても日本人らしく寄せの甘さが目立ち、そこを見て取ったであろうトニーニョ・セレーゾ監督が後半から指示したのだろう、西が高い位置に攻め上がって遠藤とのコンビで何度もサイドを崩すものの、金崎らがことごとくチャンスに決められない。

ここで鹿島は小笠原をボランチに、74分にはカイオに代えて本山を投入すると、彼らベテラン連中は有効なボールの絡みこそ多くないが、接触を厭わない激しい寄せでWSWにカウンターを許さず、チームの前への圧力を生み出して鹿島に勢いをもたらす。

そして後半21分に相手の縦パスをカットしてすぐさま右サイドにフォードすると、ボールを受けた土居がカットインからコースは甘かったがGKの逆を突くシュートを決めてようやく鹿島が同点に追いつく。

鹿島はその後もWSWを攻め立てるものの、サイドからの崩しはあってもなかなか真ん中にきっちり合わせられないままに突入したロスタイム、そこまでは右一辺倒だった崩しが今度は左に回り、山本脩斗のグラウンダーに反応してニアに飛び込んだ金崎が今度こそゴールを決めて劇的な勝利となった。

てか、WSWの監督がいつまでも守備の穴だった左サイドを放置していたのが本当に謎。後半の状況を見たら、田中をCBタイプの選手に代えて高萩をトップ下に入れれば逆転も無かったように思うのだが・・・まあその采配で鹿島が生き残ったのだから有難い事ではあるんだけどね。

これで鹿島は3連敗の後に2連勝の勝ち点6となって、2位のソウルと勝ち点で並び得失点差は2となって最終戦の直接対決を迎える事になった。もちろん、決勝トーナメント進出には得点関係無く勝つ必要があり、条件的に迷うことは一切ない。ホームでの試合で全てを出し尽くして自ら運命を掴みとってもらいたい。

モバイルバージョンを終了