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「湘南が単なる”善戦マン”で終わってしまわないためには」J1-1stステージ第6節 湘南ベルマーレ-ガンバ大阪

ここまでJ1で5試合を経過して勝ち点7と、昇格組の中ではまずまず健闘していると言える湘南ベルマーレ。しかしホームに昨年王者であるガンバを迎えた試合では、互角の試合運びを見せながらも0-2と敗れ、ガンバに貫禄を見せつけられた格好になってしまった。

試合はテクニックで勝るガンバがボールを支配するかと思われたが、前半を押し気味に進めたのは意外にも湘南だった。

ガンバは相変わらず緩めのなんちゃってゾーン・ディフェンスで、DFラインが高低にメリハリを付けるわけでもなく、湘南の攻撃陣に激しくマークするわけでもないので、1トップのブルーノ・セザルがポストに下がり、2シャドーの高山と大竹が近い位置でボールを受ける動きを捕まえられず、中で自由に基点を作られてしまっていた。

さすがに15分ほど経つとようやくブルーノ・セザルにマークを付けて、シャドーのスペースを潰すようになってからは少し展開が落ち着いたが、ガンバのSHである大森と阿部はカバーに良く下がりはするものの、湘南のWBである菊池と藤田にピッタリ付かずに後ろのSBにマークを渡してしまうため、湘南のシャドーがガンバのSBを引きつけてWBがオーバーラップをかけると、簡単にフリーにさせてしまう症状は最後までほとんど修正されなかった。

そのため湘南は、横に絞ってコンパクトさを保つガンバのゾーンを逆手に取って、ボールサイドのWBがオーバーラップした後のクロスを、逆側にいるWBにフリーで飛び込ませる形で2度決定機を作るが、結局ここで得点を取り切れなかった事が結果に響いてしまった。

両WBが攻撃的に出て来る分、当然ながらガンバには攻撃するスペースが出来るわけで、ガンバは湘南に押されながらもパトリックの強さと宇佐美のドリブルという個人能力でチャンスを作り出し、26分にショートコーナーから遠藤がふわりと浮かせたボールを丹羽が頭で落とし、後ろから飛び込んだ米倉のシュートはGK秋元がいったんは弾くものの宇佐美に押し込まれてガンバが先制。

後半になると湘南の運動量が落ちて3トップがプレスをかけられなくなり、ガンバはDFと中盤との間でじっくりビルドアップしつつ、サイドや前線に縦パスが入るようになって湘南の守備が後手後手に回ってしまい、時折チャンスは作るのだが全体の押し上げが不足して単発に終わり、なかなかガンバに対して波状攻撃がかけられない。

湘南は最後にはアンドレ・バイアを上げてブルーノ・セザルと2トップを組み、遠藤航をトップ下にしたパワープレイを仕掛けるがガンバはGK東口の好守などで凌ぎ切り、最後はロスタイムに倉田がPA内で後ろから倒されPK。遠藤がこれをゴール右隅にしっかり決めて完全なダメ押しとなった。

湘南はホームでまだ未勝利なのだが、相手に守られても点が取れるタレントが不足しているため、どうしても点を取るためにはWBを中心としてオーバーラップで数的優位を作らざるを得ず、ホームでは応援を背にして攻勢に出てしまう分、逆に相手にとって美味しいカウンターのスペースを与えてしまうジレンマに陥っているように思う。「自分たちのサッカー」が出来ない場合に、どういう形の試合運びをやって勝ち点を拾っていくのか、そういうセカンドプランが求められいるように思う。

ガンバは前線の好調さに引っ張られて守備も安定して来たが、相変わらず遠藤にミスが多くて安定感が無いのはACLに向けて気がかりな点。ここで気を引き締めなおして全てにもう一段ギアアップしてもらいたい。

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