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「クロップ監督の置き土産は、香川復活の後押し?」ドイツ・ブンデスリーガ第29節 ボルシア・ドルトムント-パダーボーン

先週末に、電撃的にクロップ監督の今期限りでの辞任を決めたドルトムント。そして早速日曜日には、来期の監督としてマインツで岡崎と一緒に仕事をしていたトゥヘル氏を招聘する事を発表した。

トゥヘル監督の特徴としては、相手に応じて戦術やフォーメーション、選手起用をいろいろ変えて来る事で、クロップ監督とは師弟関係ではあるものの、どちらかと言うとゲーゲンプレッシングに見られるように戦術と選手起用を固定したがるクロップとは異なる特徴を持っている。クロップの場合は香川のように重用されると有難いが、見限った選手はためらわず干すので今までチャンスが与えられなかった選手にとっては朗報ではないだろうか。

さてその辞任会見の直後となる試合だけあって、ドルトムントの序盤は最近になく縦の速さを意識した攻撃を披露。CBはどんどんと持ち上がり、SBは早いタイミングでオーバーラップを仕掛け、ボルシアMG戦ではトップ下に固まってウロウロするだけだった香川も、積極的に前線へと飛び出してパスを引き出す動きを見せる。つーか、もっと前からそれをやっとけばクロップも辞めずに済んだだろうにと思ってしまう勢い。

だが、パダーボーンも4-4のゾーンを固く組んでドルトムントの攻撃陣に対して最後のところは自由にさせず、前半のうちに2度あった決定機もオーバメヤンが活かせず、香川の動きも序盤の鋭さが無くなってバイタルでパスを無難にさばくだけになってしまってトーンダウンする。

ハーフタイムにクロップ監督からの発破があったのか、後半からドルトムントは再びアクセルを踏み込み、3分に右サイドを突破したオーバメヤンのクロスを中に入って来たムヒタリアンがピンポイントで合わせてようやくドルトムントが先制。7分後にはギンターからのスルーパスに抜けだしたオーバメヤンがやっとこさゴールを決めて2-0に。

そこからドルトムントもややペースが落ちて流れは停滞するが、後半30分を過ぎてパダーボーンのプレスが弱まって中盤のスペースが空き出すとドルトムントに再びペースが傾き、79分に香川がDFラインから飛び出して右サイドの角度の無いところからシュートを決めた場面はオフサイドになってしまったが、その直後にムヒタリアンからのパスを中央で受けた香川が落ち着いてシュートを決めて3点目をゲット。これで試合は完全に勝負あり。

このシュート場面を見ると、足首のスナップを効かせてGKを巻いてパスを通すようなキックであり、今までの香川だったら足首を固めてインサイドで慎重に打ってポスト横、というパターンになっていたのだろうが、ようやく本来香川が持っていた、DFやGKの反応を見てその逆を柔らかく取ってゴールにパスをするシュートが見られたことが、得点という結果より何より注目すべき点だろう。オフサイドの場面も、今までだと間違いなく折り返してしまったところで、それをGKが予測して体制を崩したところを見越して裏をかいたシュートであり、その直後のゴールがたまたまでなかった証明でもある。

香川にこういう感覚が戻って来たのは、クロップ監督の辞任会見を受けての開き直りがあったのではないかと思っている。もしそうだとしたら、図らずもクロップは自らの辞任をもって、愛弟子の香川に対して大きなプレゼントを与えてくれた事になるのかもしれない。それを無駄にしないためにも、ドイツカップの優勝を決めるゴールという結果を残してもらいたいものだ。

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