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「大迫とケルンが発見しつつある新境地」ドイツ・ブンデスリーガ第28節 ケルン-ホッフェンハイム

大迫と長澤、2人の日本人が久々に先発復帰した7位のホッフェンハイムとの試合は、大迫が2点を演出するキッカー誌でMOMとベストイレブンに輝く活躍で3-2と勝利し、ブンデス1部残留とEL出場枠を狙うチームにとって大きな結果を残したと言える。

とは言え、最終的にケルンが勝ったものの、内容的にはかなり薄氷と言える試合だった。

試合開始直後はホッフェンハイムが猛攻。ケルンはSBが高い位置を取って攻撃的に出るのだが、ハイプレスならお手の物のホッフェンハイムに押し負けてサイドのスペースを切り崩され、CBの位置取りも曖昧なゾーンで一度に2人が同じ選手にアタックをかけてしまったりと統率が取れておらず、スライディングしたDFに当たったボールがさらにバーに当たった場面など、2度の決定的なピンチを作られてしまう。

それ以降もケルンはホッフェンハイムの鋭い出足の前になかなかボールを前に運ぶことが出来なかったのだが、それだけに前半20分に右サイドのスペースでボールを受けた大迫がそのままPA内へドリブルで切れ込み、ユニフォームを引っ張られた上に後ろから倒されてゲットしたPKは大きかった。

前半はそれでもホッフェンハイムが押し気味の展開で終了したのだが、後半になると相手のプレスが落ちてようやくケルンがペースを握るようになる。右SHとして先発した前半は、ホッフェンハイム左SBキム・ジンスの速い寄せに苦労していた長澤が後半から左SHへとポジションチェンジし、トップ下のように何度も中に入って大迫らとコンビネーションを見せ、期待のドイツ代表SBヘクターのオーバーラップとで分厚い攻撃を作り始める。

すると後半9分に長澤からセンターでボールを受けた大迫が素早く右を走るウジャーに優しいスルーパス、これをウジャーが難なく決めてケルンが2点をリードする。が、25分にケルン右SBのオルコフスキがPA内で後ろからモロに足を引っ掛けて倒してしまい、PK+一発レッドで一気にケルンは大ピンチ。

すぐさま長澤は控えのSBと選手交代し、大迫は左SHに回ってウジャーが1トップ、しかしそれではボールが収まらないのでウジャーが退いて大迫が1トップの位置へ。そしてその4分後に、大迫が左へ流れてDFを引き付けている隙に、ヘクターが何と自陣から5人をドリブルでぶち抜いて3点目のゴールを決めてしまう。そこからセットプレイでホッフェンハイムに1点を返されるものの何とかケルンが逃げ切って試合終了。

大迫は自身の得点こそ無かったが、コンディションはベストに近いようで攻撃への切り換えが素晴らしく早く、2トップのウジャーと交互にサイドのスペースに流れてボールを受ける形が機能、相手DFがマークに付く前にボールを確実にさばき、股抜きやスルーパスなどベルカンプやバレロンを思わせる華麗なチャンスメイクを披露。課題だったフィジカルコンタクトも、ボールを受ける前に体を相手にぶつけて有利な体勢に持ち込む、かつてピッポが得意にしていたスキルを身に付けつつあって心強い。

相手が守備的に来てスペースが無い場合、1トップで出場して集中マークを受けた場合にどうなるかという点はまだ未知数だが、味方も大迫の動きに合わせてボールを集めるようになって来ているし、今までの低迷期からは確実に脱出しつつあるように思う。後はさらに得点という結果を積み上げないとね。

長澤については、中央ではそれなりにボールに絡んでいたがサイドではなかなかまともにプレイさせてもらえず、競り合いで簡単に倒れたりバックパスに逃げるプレイも多かった。試合勘が足りない割にはそこそこ出来ていたとは思うが、もっと岡崎のように小柄でも前にベクトルを持った強いプレイスタイルを目指して欲しいと思う。

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