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「香川の復活については楽観視が出来なくなったかもしれない」ドイツ・ブンデスリーガ第28節 ボルシアMG-ボルシア・ドルトムント

ドルトムントにとっては来季のヨーロッパ戦への参加を左右する上位との直接対決だったが、開始わずか30秒でミスパスと足滑りというフンメルスの二重のミスから先制を許すと、その後はガッチリ守るボルシアMGに対して全く攻め手が見い出せず、その後は前がかりになってはカウンターを食らういつもの失点パターンを重ねて惨敗してしまった。

ミッドウィークに行われたドイツ・カップで延長戦を戦った反動なのかチーム全体の動きが悪く、前に人数をかけるのはいいがボールを奪われた後の切り替えが遅く、全くゲーゲンプレッシングにはならずにひたすら自陣までズルズル下がってから相手のミスで何とか奪い返すのが精一杯という体たらく。

いつもは極めて評判が悪い清水秀彦氏によるネガティブボヤキ解説だが、この試合に限ってはかえってそれがふさわしく聞こえるぐらい、ドルトムントにとっては良い所を探すのが極めて難しいぐらいにどうしようも無かった。

その中で、清水氏が香川とムヒタリアンの相性の悪さについて指摘していたが、ゲーゲンプレッシングを遂行する上では明らかにムヒタリアンよりも下手だけど運動量があってシンプルにプレイできるカンプルのほうが相性が良いはずなのに、頑なにムヒタリアンを優先するクロップ監督の采配にも疑問が残った。レヴァンドフスキしかりギュンドアンしかり、最初は酷くても辛抱して使い続けて才能を開花させるのはクロップ監督の得意技だが、ムヒタリアンについては正直その我慢では厳しいように思うのだが・・・

それは残念ながら香川についても言えるかもしれない。この試合の香川は今期ワーストではないかというぐらいに酷い出来。クロスに対する空振りなど2度の決定機を物に出来なかった事が叩かれているが、個人的には試合を通じてあまりに消極的な姿勢に終わってしまった事が残念で仕方ない。

試合の序盤は、積極的にボールを引き出して良い展開パスを出して引いた相手を崩す工夫が感じられたのだが、一度チャンスになりそうな場面でトラップをミスしてシュートまで持って行けなかった場面があったのだが、そこから急に自信を喪失した様子になって、バイタルでトコトコ歩いては後ろの選手にバックパスを指示し、たまにパスが来ても意識は後ろに捌く事だけで、オーバメヤンがワンツーパスを送っても気づかずに動きが遅れるなど、気持ちがほとんど後ろ向きになってしまっていた。

クロスにフリーで飛び出して追いつけなかった場面でも、その直前に香川は飛び出すスピードを落としており、もしそのままのスピードで走り続けていたらおそらくボールに届いたはずで、ミスを恐れるあまりに自分が確実にボールをコントロール出来る体勢でいようとするので、全ての行動にブレーキがかかってしまっている。

とにかく攻撃よりも、守備でプレスに行く場面のほうがはるかに動けているというのは肉体的なコンディションではなく完全にメンタルの問題である。以前は、香川も古巣のドルトムントに戻ったらかつての姿をすぐ取り戻すのではないかと思っていたが、どうもそう簡単な話では無さそうだ。ハリルホジッチ監督は香川に自信を取り戻させる必要があるという旨の話をしていたが、代表で一度臨床心理士などのプロを呼んで本格的な治療をしたほうが良いのではないだろうか。

 

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