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「鹿島がアジア最強クラスの広州恒大に勝てた要因」ACLグループH 鹿島アントラーズ-広州恒大

ここまで浦和と同様にグループリーグで勝ち点ゼロと絶体絶命のピンチに陥っていた鹿島アントラーズ。ホームとは言えグループ最強と目される広州恒大との試合は、後半に追いつかれながらもロスタイムに柴崎のFKから高崎が頭で決める劇的なゴールで息を吹き返す勝ち点3をゲットした。

これで今節のJリーグ勢は全て勝ち点をゲットする事となり、遅まきながら反撃体制が出来てきたわけだが、その要因としては開幕からある程度時間が経ってコンディションが良くなって来た事に加え、ここでも何度か指摘して来たように、アジア勢の当たりに対して試合の中で慣れてきたという面が大きいのだろう。

この試合の鹿島は、今までだったらセットプレイで相手の高さに負けて失点していたところを、逆にFKから得点したわけで、CKの競り合いを見ても相手を簡単には見失わず、高さで負けても体を寄せる事で有利な体勢でヘディングをさせない対処が徹底されていて、試合を見ていてそれほど不安感は感じさせなかった。

そしてやはりゾーンの意識。トニーニョ・セレーゾ監督はブラジル人にしては比較的ゾーンを意識した守備戦術を採る監督だが、広州の強力な3トップに対して4-4のコンパクトなゾーンでしっかりパッキングして前を向かせなかった。広州の攻撃は3トップにロングボールを集め、そこに入ってから周りが動き出す形になっていたので、後半の序盤に中盤がDFラインに吸収されて危ない時間帯はあったが、ゾーンが保たれている間は安定感のある守備が出来ていた。

鹿島が食らった失点は、ゾーンの崩れではなく単純にカウンターから西が1対1で競り負け、折り返しに飛び込んだエウケソンを昌子が視界から外してしまった事で、あくまで個人のミスによるものである。もちろんそれは反省しないといけないが、容易に間合いを開けた状態で個人対個人に持ち込まれなければ、現役セレソンと云えど怖くはないという手応えは得られたのではないだろうか。

ハリルホジッチ監督が視察していたのもあってか、柴崎も代表戦の悔しさを晴らすかのように活躍。守備のポジショニングについてはやや遠藤っぽくフリーダムな動きにはなっていたが、サイドチェンジやスルーパスの精度は高く、鹿島の攻撃の大部分を演出していた。昌子も失点場面以外は安定していてトータルではまずまず。あと目立った選手はカイオ。攻撃では決定的な働きは出来なかったが、相手のプレスに負ける鹿島の選手が多い中、高いキープ力でサイドの基点となって守備陣のゾーン作りを助けていたのは見逃せない。きっとハリルホジッチも早く帰化できないかと思ったに違いない(笑)。

これで鹿島は、残り2試合で連勝すれば決勝トーナメント進出と自力での可能性が復活した。次のアウェイでのウェスタン・シドニー・ワンダラーズ戦が最大の難関である事は間違いないが、広州3トップのフィジカルを経験すれば恐れる必要はないはず。是非ともオーストラリアから朗報が届くことを願いたい。

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