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「香川の復活はあとシュートだけ、何だけどそのシュートが問題」ドイツカップ準々決勝 ボルシア・ドルトムント-ホッフェンハイム

リーグ戦でのヨーロッパ戦進出がかなり厳しくなって来たドルトムントにとっては、ドイツカップ・ポカールの優勝で与えられるヨーロッパリーグ出場権が喉から手が出るほど必要で、それだけに120分間の延長戦で勝ち取った喜びは大きかった。

現在リーグ7位と10位のドルトムントよりも上位にいるホッフェンハイムは、ブンデスリーガの中でも相当攻撃的なサッカーなチームで、と言うかかつてのドルトムントを思わせるようなゲーゲンプレッシングをやって来るだけにどういう試合になるかと思ったのだが、やはり試合序盤は狭いスペースの中をボールがパチンコのように行ったり来たりする激しい展開で、19分と21分にセットプレイから交互に点を取り合うクロスカウンターが決まる。

試合が落ち着き始めるとホッフェンハイムがドルトムントに仕掛けてきた戦術が見えてきて、4-3-3のインサイドハーフがギュンドアンをマークしてゲームメイクさせず、香川にはマンマークはつかないまでもアンカーの選手が常時バイタルエリアをケアしてスペースを作らないように徹底されていた。そして前線の3枚はドルトムントの守備陣に激しくプレッシャーをかけるという様に、ボールの出しどころを抑える策に出て来た。そしてそれは、前半28分に、ドルトムントCBのスボティッチがトラップミスしたところを掻っ攫われて失点するという形で結実する。

しかしクロップ監督も手をこまねいていただけではない。後半に入ると、ボールの出どころを狙うホッフェンハイムの守備を逆手に取って、CBがドリブルで持ち上がってからパスを出したり、ギュンドアンがフェイントでマークを外してから縦パスを出したりと、まずマンマークのプレスを無力化して攻撃をスタートする策を仕掛け始め、これで徐々にホッフェンハイムの守備が後手に回るようになる。

こうなるとドルトムントのサイド攻撃も活性化し、後半12分に速いパス交換から右サイドを抜けだしたドゥルムが中へクロスを上げると、飛び込んだオーバメヤンにピンポイントで合ってドルトムントが同点に追いつく。しかしそこで一気に逆転とは行かず、ドルトムントもそこまでのハイペースがたたったのか攻撃のリズムが落ち着いてしまい、疲労もあってかミスが増えて何度か危ないピンチを作りつつ延長突入。

延長に入るとドルトムントはムヒタリアンに代えてカンプルを投入、これで再びドルトムントがペースを握ると、延長後半3分にクロスのこぼれ球をケールがダイレクトでミドルシュート、これがゴール端ギリギリに決まるゴラッソになってドルトムントがとうとうリードする。ホッフェンハイムは当然そこから一転して激しく攻撃を仕掛けて来るが、ドルトムントは何とか耐え切って試合終了。ジグナル・イドゥナ・パルクは勝利の歓喜に包まれた。

香川については、コンディション自体は良好なようで、狭いスペースの中でも自信を持ってボールを呼び込み、正確な判断と技術でボールをつなぐチャンスメイカーとして確実にチームの勝利に貢献できていた。クロップ監督も珍しく香川を最後まで使ったように、疲れが出ても今までのようにプレイ精度が極端に落ちることも無くなった。

が、サイドから切れ込んで至近距離からシュートに行ける場面で中へ折り返してしまったり、かと思うと右にフリーな味方がPA内に走りこんでいるのにGK正面にシュートを打ったりと、ゴール前での判断に迷いや遅れがまだまだ残っている。

香川の決定力不足については完全に技術ではなくメンタルの問題なので、明日復活するかもしれないし、このままずっと眠ったままなのかもしれないのが何とももどかしい。何かきっかけがあればと思うのだが、それが準決勝で対戦することが決まったバイエルン戦であって欲しいと願うばかりだ。

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