「日本人監督では”人治”サッカーになってしまう典型例」ACL グループF ブリーラム・ユナイテッド-ガンバ大阪

ACLのここまでの3試合でわずか勝ち点1しか挙げられず、グループリーグ敗退の崖っぷちに立っていたガンバ大阪。しかし首位のブリーラム・ユナイテッドのホームで2-1と奇跡的な逆転勝ちを収め、自力での決勝トーナメント進出の可能性を引き寄せた。

しかし試合の内容的には惨憺たるもので、正直言って相手に何度もあったビッグチャンスを東口がことごとくセーブしたり、至近距離から枠を外してくれたおかげであり、4対19というシュート数を見ても完全に力の差を感じた試合であった事は直視する必要があるだろう。

ガンバがこの試合を極めて苦しい物にしてしまった理由は、まず第一に30度を超える高温多湿の気候と、踏ん張ると簡単にめくれ上がってしまう田んぼのようなピッチであった事は確かだろうが、個人的には長谷川監督の采配にも大きな原因があったのではないかと思っている。

以前にTwitterで、以下の様なつぶやきをした事があったのだが、今回の試合がまさにその典型例だったと言えよう。

その采配の問題点は、ズバリ長谷川監督がガンバの大黒柱である遠藤と今野を揃ってボランチで起用した事にある。

ブリーラムは、ブラジル人FWのジオゴを守備力に劣る米倉とマッチアップさせて、ハイボールやポストプレイの1対1でことごとく完勝、そのためDFラインは90分間ほとんどまともに上げられなくなってしまった。

ラインが上げられない場合のゾーン・ディフェンスの鉄則は、最低限中盤がボールサイドに寄った4-3のゾーンを作る事にある。が、ガンバの場合はボランチの今野が人に付いて行ってしまい、遠藤はポジション放ったらかしで勝手にスペースを見つけて埋める、特にこの試合ではDFラインに吸収される事が多かったので、ボランチが2枚揃っている時間帯はほとんど存在していなかった。

ならばSHの倉田と阿部が中に絞ってゾーンを作るかというと正反対で、むやみに相手のSBにプレッシャーをかけに行って簡単に交わされ、4-3どころか5-1状態でゾーンもクソも無し。仕方なく、中盤スカスカのスペースを埋めにリンスが下がって、宇佐美は前線でプレスもかけずに立っているだけ、後ろからは前線にアバウトなクリアボールを蹴るだけで、セカンドボールを拾われまくり以下無限ループ。

たまにガンバのボランチ2枚が中盤に揃っている時間帯があって、その間はブリーラムにチャンスを作らせていなかったのだから、それを90分間徹底させていればこんなに苦しい試合にならなかったはずなのに、結局長谷川監督は戦術による”法治”ではなくて、選手による”人治”のサッカーを選んでしまった。

長谷川監督は、Jリーグの中では比較的戦術家として知られており、日本代表監督の候補として推す人が多いのだが、個人的には人治サッカーをやってしまう人は根本的に向かないと思っている。

リーグ戦はともかく、W杯やACLという短期決戦の国際戦は、戦略と策略の戦いである。いかに相手の弱みを掴んでつけ込み、こちらのプランを気づかせないか。それが人治になってしまったのでは、もはや丸裸状態の「自分たちのサッカー」で挑むしか無くなってしまう。それでは今の時代、絶対に勝てないのは、ブラジルW杯でのザックジャパンとセレソンを見ればよく分かるはずだ。

選手層が薄いからコンディションが悪くてもベテランに頼らないといけないという理屈はあるが、そういう時にこそ法治サッカーを行い、今までベテラン主力の力で覆い隠してきた、自分のチームの問題点をあぶり出すような戦略が監督には必要なのではないかと思うのだ。