旧閑ガゼッタ

「ハリル・ジャパンVSザック・ジャパンの行方やいかに」キリンチャレンジカップ 日本-チュニジア

ハリルホジッチ監督の初采配となったキリンチャレンジカップ・チュニジア戦は、後半に日本が岡崎と本田のゴールでチュニジアを突き放し、2-0で嬉しい初陣初勝利となった。

注目の先発メンバーは、1トップに川又、2列目が武藤、清武、永井、ボランチが長谷部と山口、4バックが藤春と槙野、吉田、酒井宏樹、GKが権田の11人で、何と香川も本田も岡崎もいないという誰も予想できなかった面子になった。

しかし武藤と永井は言うに及ばず、藤春は守備や判断はイマイチだがスピードとスタミナは抜群で、上がってもカバーなんかしないから自分で責任取れよというドイツの掟にスポイルされてはいるが柏時代はスピードに乗ったオーバーラップが特徴だった選手で、サイドはとにかくスタミナとスピード、そして次世代猟犬の山口螢、フランクフルトですっかり掃除屋が身についた長谷部が中を締める形だろう。

そして守備組織にもその狙いは徹底されており、一応4-4のゾーンでマークの受け渡しをする守備は見られたものの、それはチュニジアがアタッキングサードに入って来た後の話で、それより後ろにボールがある場合は4-2-4のような形になって前線の4人がボールをガンガン追い回していた。

それだけでなく、ボールと逆サイドのSHが中に絞ってカバーに入りながら、ボランチの1枚やSBが高い位置に出て中盤で縦に入るボールを潰す動きも活発に行われていて、守備をしている時間の7割はゾーン・ディフェンスと言うよりはゲーゲンプレッシングのような形になっていた。

ガンバのサポーターからは藤春の守備が相当不安視されていたようだが(笑)、とにかくサイドで人に付くという約束事を忠実に守っていて、判断の遅さや経験不足をスピードとスタミナで補うハリルホジッチの狙いが良く見える起用だったように思う。

サイドが高い位置で守備に参加する事で、ボールを奪ったらすぐにサイドアタックを仕掛けられるというのがゲーゲンプレッシングの狙いであり、実際に同じサイドで縦に入れるパスが見られたりと戦術意図ははっきりしていたのだが、特に前半は残念ながらスムーズなサイド攻撃は実現出来ていなかった。

チュニジアが日本のサイドを警戒してSBがスペースを潰していたのもあるが、やはりまだ守備組織を整えただけで攻撃は各自のイマジネーションに頼っているようで、後ろがボールを持っても足を止めて前に張っているだけでボールを呼びこむ動きが無かったし、SBの上がるスペースが作れずポジションがかぶったりと、個人個人が試行錯誤しながら1手先のプレイだけを必死で考えているような感じだった。

後半になると、日本のボールサイドに絞る守備を見て、チュニジアが中で溜めを作ってからサイドチェンジ+オーバーラップを仕掛ける策に出てきたが、逆にそれで日本にも攻撃のスペースがサイドに出来るようになり、互いに攻撃のリズムが出始める。

さらにここでハリルホジッチ監督は香川と本田を同時に投入する手段に出たのだが、これが勝負&興業という点では非常に効果的だった。

いきなり彼ら2人でワンツーをし出したのには苦笑してしまったが、相手にスペースが出来たところで安心してボールを預けられる2人が入った事で一気に後ろからの縦パスが増え始める。こうなれば後はザックジャパンの杵柄で、彼らの視野の広さとプレイ精度、勝負どころを嗅ぎ分ける能力で一気に試合を決めてしまった。

ただ、こういうゾーンを意識した試合はザックジャパンの初~中期にも出来ていた事であり、本気の強豪相手に後半のサッカーをやっても多少ブラジルW杯よりはマシになる程度であって、この内容と結果に満足してしまったのではハリルホジッチ監督を招聘した意味が無い。前半スタメンの目的、志を持ちつつ、本田や香川抜きでどこまで高いレベルに引き上げる事が出来るかが、今後追及して行くべきポイントになるのではないかと思う。