旧閑ガゼッタ

「果たして日本代表の”本田・香川時代”は終わってしまうのか」キリンチャレンジカップ チュニジア戦展望

とうとう、ハリルホジッチ監督の初采配という事で日本中の注目が集まるチュニジア戦が今晩に行われます。

ハリルホジッチがどういうサッカーをやって来るのか、練習は非公開なので具体的な内容は明らかになってはいませんが、監督の発言や選手の談話である程度の大枠は見えていると言えます。

まず、ピッチに書かれたグリッドと3本のロープを使っての練習があったという点。これは明らかに、選手にゾーンの意識を植え付けるために行うゾーン・ディフェンスの基礎とも言える練習方法です。

ゾーン・ディフェンスについてはここで何度も書いている通り、日本にとってのアキレス腱とも言えるポイントで、ザックも代表監督就任後にはゾーン・ディフェンスの練習を盛んに行っていましたが、戦術的にショートパスサッカーとの両立は困難で、結局ザックも諦めてしまって最後まで根付きませんでした。

実際に、クラブでもゾーン・ディフェンスをやっている選手は少なく、守備陣に限ると吉田と内田、森重、長谷部、長友、両酒井ぐらいしかいません。そのうち、長友と両酒井はいまだにゾーン・ディフェンスの守り方が身に付いているとは言えない状態です。それだけ、育成年代での習熟が必要な戦術なんですよね。

ハリルホジッチは国内組向けのミーティングで、毎月代表合宿を行いたいとの意向を示しているようですが、間違いなくゾーン・ディフェンスを日本の選手に植え付ける難しさを念頭に置いた上での発言でしょう。

逆に言うと、今まで代表に定着しなかった選手でもゾーン・ディフェンスがしっかり出来ればレギュラーに抜擢される可能性は十分にあると言えます。キリンチャレンジカップではたくさんの選手を使うとも監督は明言していますが、それによってゾーン・ディフェンスの適性スクリーニングを行うのではないかと思っています。

そしてもう1つのテーマは「速攻」。リターンパスを禁止するぐらいにカウンター、速攻のイメージを練習で植え付けていたようですが、これは今までのショートパスで崩すザックジャパンのサッカーとは正反対の方向性です。これによって大きく影響を受けそうなのが、これまで代表の中心選手として君臨していた本田と香川の存在。

本田も香川も別に速攻が出来ないわけではないのですが、本田の場合はどうしても左足でのプレイに制限されるため、その方向を抑えられるとボールを持ち替えるかバックパスになってしまい、そこでボールは止まってしまいます。そして香川はバイタルエリアでの細かいターンが武器なので、マークが付いているとバックパスをして動き直してからリターンパスをもらう形を好むため、よほど香川の細かい動き出しに合わせられる選手が後ろに居ない限りは遅攻になりがちです。

そして今までは彼らに対して周りの選手がリスペクトし、彼ら同士も互いをリスペクトしていたために、まず味方からのボールが彼ら2人に集まって来るし、彼ら同士が近い位置でパス交換して攻撃する形も多く、そうなるとどうしても手数は増えてしまいます。もしかすると、ハリルホジッチはその関係性を無理矢理にでも断ち切るためにどちらかをサブに回すかもしれません。

もう1つの解決法は、彼らを横並びではなく縦の関係にする事。それによって横パスから縦パスの関係性へと変化させられるので、例えパス交換があったとしてもそれほど大きな問題にはなりません。未だに本田を超えるポストプレイヤーが日本に生まれていない事を考えると、本田を1トップとして使う手段は十分考えられると思います。

このキリンチャレンジカップ2戦では、選手のゾーン・ディフェンスへの適応度、そして本田と香川の使い方の2点に絞って注目してみたいと思っています。