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「やはりそう簡単に”香川復活”とは行かない」ドイツ・ブンデスリーガ第26節 ハノーファー-ボルシア・ドルトムント

ユベントスとのチャンピオンズリーグを除けば2月から5連勝と好調だったが、ここに来て公式戦3試合勝ち無しと急減速してしまったドルトムント。このハノーファー戦もビッテンコートが退場するまでは1-1のイーブンスコアでチャンス自体も多くなく、危うく同じ轍を踏んでしまいそうな試合だった。

香川も久々のゴールに加えて、オーバメヤンへのアシストになった美しいアウトサイドのクロスと結果は出したが、特に前半は消えている事が多くて出来としては全体的に平凡。

まあ、だいたい香川はチーム全体の調子に左右されがちと言うか、そもそもプレイスタイルがバイタルエリアでフリーな状態で縦パスを受けてナンボの選手なので、「相手の守備にスペースがある事」「ボランチやCBから香川が動いたタイミングでパスが来る事」「サイドがオーバーラップしてパスコースを作る事」という条件が揃わないとなかなか良い活躍が出来ない。

この試合の場合、ハノーファーがサネをアンカーのポジションに置いて清武をインサイドハーフにした4-1-4-1のフォーメーションを取って来たので、まずバイタルエリアのスペースが無くて香川もほとんどフリーになれなかった。そして大きな展開を得意とするシャヒンが怪我で居なくなり、ギュンドアンも不調でミスが多く、効果的な縦パスがほとんど来なくなっていた。

そしてドルトムントはSBが怪我人だらけで、CBのソクラテスが左SB、控えのキルヒが右SBを務めていたのだが、ソクラテスはマッチアップしていた酒井宏樹の全く脅威にならず、キルヒはハノーファーの1点目の場面でビッテンコートに対して裏を取られてしまうなどチームの戦力になれていなかった。これだけ香川にとっての必要条件が欠けていると厳しいのは当然である。

それだけに、やや厳しい判定に思えたファールでビッテンコートが後半10分に退場した事が大きかった。これでキルヒの負担が減ると同時にサネがカバーのために左側に寄る形が多くなり、そのスペースに香川が侵入して楽な形でボールを受けられるようになった。香川のゴールも、後方からダイアゴナルに走り込んで来たロイスにハノーファーの選手が反応できず、慌ててカバーに入ったために香川がフリーになれたわけで、ハノーファーが前半のまま戦っていたらどうだったか。

ドルトムントの連勝中は、対戦相手が結構攻撃的に前へ出て来てくれた事と、ドルトムントが先制点を取る形が多かったので、たまたま全てが良い方向に回っていただけであり、この苦しんでいる3試合が現実なのだと認識した上で、ここからどうチーム力を向上させるか真摯に取り組んでいかないと来期のヨーロッパ戦進出は難しいのではないかと思う。

ハノーファーについては、清武もインサイドハーフで守備に追われてアシストは1つあったもののシュートが無く、目立ったのはセットプレイの精度ぐらい。酒井宏樹もいくつかオーバーラップはあったがほぼ守備の人だった。それでも2点を奪った上に決定的なチャンスもドルトムント以上に多くあり、チームの内容的には悪くなかった。それだけに、やはり攻撃で効いていたビッテンコートの退場は何とも痛かった。

これで彼ら3人はチュニジア戦とウズベキスタン戦のために帰国となるが、果たしてハリルホジッチ監督は誰を先発にしてどういうポジションで使って来るのか。監督自身が言及していた(と思われる)香川の自信復活はもちろん、世代交代に向けて清武と酒井宏樹には一皮向けて欲しいところなのだが・・・

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