旧閑ガゼッタ

柏と浦和の運命を分けたポイントこそが、ACL攻略の大きな鍵

昨日はACLグループリーグの第3節、柏対山東魯能、浦和対北京国安の試合がありまして、柏は山東に勝利してグループリーグ通算2勝1敗の勝ち点7と、決勝トーナメント進出に大きく前進しました。が、正反対に浦和は3連敗で勝ち点ゼロのまま。グループリーグ突破は2位がまだ勝ち点3なので可能性は残っていますが、3連勝しないと厳しい立場である事には変わりありません。

私は週末に参加するイベントの用事があったので、2試合とも90分間は見られていないので試合のレポートは書きませんが、柏がきっちりとアジア対策を施していたのに対し、浦和は前2戦の反省が活かされておらずナイーブな試合をやってしまったなという印象です。

まずJリーグのクラブに対する定番対策として、マンマークで前線へのクサビのボールを寸断させるというポイントがあり、ここでカットを恐れてビビってしまうと相手の思う壺なのですが、柏は相手のフィジカル攻撃に怯まずしっかりボールを回せていました。全盛時のガンバのように、速いタイミングでパスを2本も繋げばアジアレベルではプレスが追いつかなくなります。その閾値を超えられるかどうかが、今のJリーグクラブの生命線であると言っても過言ではありません。

逆に浦和は攻守ともに、クサビのボールに対する意識が低すぎました。確かに攻撃はピッチ状態が悪くてグラウンダーではなくてロングボールに頼らざるを得ず、高さで負ける浦和の前線がボールをキープ出来なかった事は仕方ない面はありますが、相手の前線に対するアプローチが遅くて、クサビのボールが入ってから思い出したように間合いを詰めているような守備は言い訳できません。

そもそも、日本のサッカー選手はボールホルダーに近づきさえすれば守備をしたような気になっているというか、実際Jリーグでは縦のコースが切られてしまうとすぐに横パスやバックパスをしてしまいがちなのでそれで通用しているわけですが、そもそも間合いを詰めるという行為は非常にリスキーなものなのです。

まず第一に自分が前に出る事によって後ろにスペースが生まれるため、当然そこにパスを通されるとピンチになりますし、そのスペースをカバーする味方への負担にもなります。その味方も、自分が見ていたスペースを犠牲にして移動しているため、15パズルのように連動してずれていかなければなりません。これがゾーン・ディフェンスの考え方です。

従って、間合いを詰めるからには必ずボールホルダーからボールを奪うか、ボールコントロールを失わせるか、最悪プロフェッショナルファールで止める事が鉄則になるのです。

ザックの守備戦術について書かれた記述を引用しますと、「パスを受けようとする選手は、三つのタイミングを持っている。ボールを止めるタイミング、顔を上げるタイミング、そしてパスを出すタイミングだ。前のパスが出された瞬間に動き出して受け手にプレッシャーをかけにいった選手は、相手からこの三つのタイミングのうち一つを奪うことを狙う。止めるタイミングを奪えば、ダイレクトパスを強いるかイーブンボールになるかのどちらかだ。止めた後、顔を上げるタイミングを奪えば次のパスが不正確になる。パスを出すタイミングを奪えばそこで追い詰めることができる」と書かれていますが、それらが出来ないぐらいなら間合いなど詰めないほうが良いとさえ言えます。

そして詰めない場合にも次の展開に対してすぐに対応できる体勢である必要があります。ザック就任直後はボールホルダーに対するDFの体の向きや相手との距離といった、ゾーン・ディフェンスに関する基礎を徹底指導したのは有名な話ですが、それすら当時のJリーグの選手にとってはほとんど初耳だったようです。昨日はブンデスリーガで守備のポジショニングに苦労している選手に言及しましたが、彼らのミスのほとんどが上記の中途半端な間合い詰めで裏を取られるというものです。

昨日のTweetでは、「日本のサッカー選手は、間合いという言葉の本当の意味を知るために、全員剣道を習うべきじゃないか?」と書いてしまいましたが、今日ネットで調べていたら空手における「間合」についての説明がありました。その中に相手の体格に応じた対処について書いてあって、「背の高い者は懐が深く、前足での回し蹴り、刻み突き、逆突きなどを得意としている者が多くなかなか懐に入りにくいです。この様な者に対しては相手の動きに乗じて、あるいは相手を崩しながら懐に飛び込むようにする事が大切です」という部分などサッカーにもそのまま当てはまるのではないかと感心しましたね。

日本の守備はゾーン・ディフェンスの基礎が出来ていないと散々ここで書いてますが、それと同様にこういう1対1での守備の基礎というものも同時に高めていかなければならないと痛感します。