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「1分で分かった、ヘルタで細貝と原口が使われない理由」ドイツ・ブンデスリーガ第25節 ヘルタ・ベルリン-シャルケ

ヘルタ・ベルリンの原口がドイツ移籍後の初ゴールを決めたというニュースを聞いて、そのシャルケとの試合を一応最初から見てみたのだが、試合が始まってすぐに何故細貝がベンチ外になって原口がなかなか試合に出られないのかがすぐ分かってしまった。

その理由は、中欧出身らしくパル・ダルダイ監督の戦術が相当厳格なゾーン・ディフェンスを採用しているからだろう。ドイツの場合、基本的にゾーンを組む場合は多いものの基本的には1対1、つまりツヴァイカンプフで勝つことが前提であり、あまりマークに出た選手のカバーを考えないチームが多いのだけど、ヘルタの選手はカバーリング(ディアゴナーレ)の意識が徹底されているし、自分のゾーンからボールが外に出たらすぐさまマイポジションに戻るし、ゾーンに穴が開いている事に気づいた時には全速力でカバーに行っていた。

そして攻撃でもゾーンの意識が浸透していて、例えばSBがカットインで中に入ったらSHは外に開き、またその逆というように選手がポジションチェンジをしても各選手のポジションバランスが4-4-2と2-4-4の間で崩れないように動いており、3バックで中を固めていたシャルケに対して後半にヘルタがサイドで主導権を握って攻勢に出た要因になっていた。

前半21分にベン・ハティラがゴールを決めたシーンも、中盤がボールホルダーに対してプレスをかけた位置までボランチがスルスルと上がった動きにシャルケの縦パスが引っかかったところから始まった攻撃であり、こういう高いオートマティズムはある程度ゾーン・ディフェンスの基礎が出来ている選手でないと相当厳しい。

前半終了間際にシャルケがサネのゴールで追いついたのだが、その場面は中盤の1人がプレスバックをサボってゾーンが開いてしまい、そこに後ろの選手が3人まとめてカバーに上がろうとして出来た裏のスペースをサネに使われたものであり、ゾーン・ディフェンスではたった1人の選手が組織を逸脱してしまうと、とたんにチーム全体が崩壊してしまう。

そんなチームの中に、とにかく選手に対してビッチリ食いつく守備が持ち味の細貝が入っても組織を壊すだけになってしまうし、実際に後半24分に原口が入ってからは、周りと連動せずに高い位置に張ってみたりSBのところまで下がってみたりと、かなりチームのバランスを無視したポジショニングをやってて冷や汗が出てしまった。

当然、味方がボールを奪っても原口の走るコースはポジションバランスをあまり考えずに自分がもらいたい場所に走っているので味方同士でかぶってしまう事が多く、もしこれで得点が取れていなかったら今度こそベンチ外になるかもと感じていただけに、たまたまゴール前に飛び込んだ時に内側へと走りこんだ動きから生まれたごっつぁんとは言え、とにかく結果が出たのは大きかった。

原口と同じ年代には、やはり同じように守備のポジショニングで苦しんでいる酒井高徳、酒井宏樹、宮市らがいるけど、その下の世代である南野や久保がブンデスよりもレベルが落ちるリーグとはいえサイドでも比較的しっかり攻守に動けているのを見ると、やはりこのあたりが日本のユース世代で戦術を意識した育成を始めた世代の区切りだったのかなと思う。

そういう意味ではまだまだ厳しい道のりだが、内田や長谷部も最初の数年間はずっとポジショニングに苦労していただけに、ここから決して伸びないわけじゃないので頑張って欲しいね。ただ酒井高徳は移籍してからほとんど何も変わってないのでちょっともう厳しいかもしれないけど・・・(笑)

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