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「手倉森ジャパンの目指す方向はボルシア・ドルトムント?」国際親善試合 U-22日本-U-22ミャンマー

リオ五輪アジア予選を迎えるU-22日本代表にとって、最後のテストマッチだっただけに楽しみにはしていたのだが、いかんせん前半だけで7点も入るぐらいミャンマーが激弱だったので、強化という点ではほとんど効果が無い試合になってしまった。

とは言え、ミャンマー全体がそこまで酷かったわけではなくて、1点目のポロリを鈴木武蔵に押し込まれた失点を始めとして、最初の日本の4点はミャンマーGKチョー・ジン・ヒョーによる中学生でも見られないような酷いミスによるものだし、前半こそ日本がパスで押し込むと守備のポジションがバラバラになってしまったものの、後半はそれなりに守備のポジションバランスが安定して2失点に抑える事が出来ていた。

そして攻撃でも各選手のドリブル能力やスピードはなかなか高いものがあり、さすがにJリーグでレギュラーとして出ている選手が多いU-22になると早めに潰す意識が徹底していて日本が後手に回ることは少なかったが、もしこれでゾーン・ディフェンスの構築に長けた監督が率いていたら侮れないなと思った。日本は実際にU-23選手権予選でゾーン・ディフェンスの使い手である三浦俊也監督率いるベトナムと対戦するわけだが、このミャンマーとは全く違うと覚悟しておいたほうが良いと思う。

さて日本のほうだが、やはりこのチームの基本はゲーゲン・プレッシングである事が改めて確認できたかなと。予選本番では南野や久保が加わるのでメンバーは変わるが、中島、浅野、荒野といったいわゆるウインガーではない選手を2列目に並べて前からプレッシャーを仕掛け、高い位置でボールを奪って彼らが基点を作り、サイド攻撃は主にSBが早いタイミングでオーバーラップをして相手の守備が整う前に攻め切る狙いがはっきりと感じられた。

1トップの鈴木武蔵にしても、前に張り付いて仕事するというよりもスペースに飛び出して仕事をする形が多く、まさにドルトムントにおけるオーバメヤン、ロイス、香川、ムヒタリアンの関係にそっくりである。予選本番では南野や久保が加わるが、この前線の構成が大きく変化することは無いだろう。

ただし、ゲーゲンプレッシングの成立要件は絶え間なく連動するプレッシングはもちろんだが、相手が余裕のある状態で前を向いた場合にゾーンをどこに引いて待ち受けるかという部分にもあり、この試合ではSBが不用意に前へ出ていたり、相変わらず植田がフリーダムに動いてラインがバラバラになったりと、アジア大会でのイラクのように1対1で劣勢になる相手に対して守備に回る時間帯が増えた時の不安は残ったままである。

おそらくマカオ、ベトナム、マレーシアと対戦する3月27日に始まるAFC U-23選手権では大きな破綻が出るとは考えられないが、それを見過ごしたままになってしまうと最終予選で危機に陥りかねない。今のうちにしっかり課題を見据えて単純に勝つだけではなくて内容も追求してもらいたいところだ。

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