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「清武のシュートに見る、かつて好調だった香川の姿」ドイツ・ブンデスリーガ第24節 ハノーファー96-バイエルン・ミュンヘン

現在ダントツで首位をひた走る最強バイエルン・ミュンヘンをホームに迎えたハノーファー。

前半の25分にノイアーを打ち破る清武のゴールで先制するものの、直後にシャビアロンソのFKで同点にされ、後半にはPA内でレヴァンドフスキの頭を蹴ってしまうもったいないPKを与えてしまって逆転。もはやハノーファーに反撃する余力は残っておらず、クロスからミュラーにどフリーで3点目を決められて試合終了。ハノーファーにとってはもう少し注意深くプレイすれば引き分けに持ち込めたかもしれない残念な試合になった。

バイエルンの試合を見る時の個人的な楽しみは、グアルディオラ監督がどんな戦術で臨んでくるかという点。前回見た時は3-3-3-1のフォーメーションだったのに、今回はアラバとシャビ・アロンソがダブルボランチを組んだ3-4-3になっていて、本当に戦術好きにとってはたまらないチームである(笑)。

おそらく今回の狙いは、シャビ・アロンソのゲームメイクを対戦相手が研究して来ているので、内田のように縦パスを出せる能力を持ったアラバを偽シャビ・アロンソのように使おうとした事だろう。そしてボランチの1枚がCBの間に入って4バックのように陣取ることで、DFからもボランチからもパスの出しどころを作っていた。

が、その狙いはそれなりに機能したものの、清武に対するダンテの緩慢な対応にグアルディオラがブチ切れたのか、前半32分にダンテを下げてレヴァンドフスキを投入、ハノーファーとマッチアップする4-2-3-1にして1対1の力量差で制圧する力技に出て来た。そして後半にはリベリ、シュバインシュタイガーと世界トップクラスの選手を次々に投入するという血も涙も無い豪腕采配。

ハノーファーは清武のゴール以外に少なくとも清武のセットプレイから2回の決定的なチャンスがあったのだが得点できず、後半途中からは清武もバイエルンのパス回しに振り回され、味方からはクリアするのが精一杯なロングボールしか前線に飛んで来なくなり、ほとんど攻撃の機会を持つ事が出来なかった。

こういう時に率先して前線へと飛び出して先にボールを触ったり、相手に対してタックルを仕掛けてボールを奪ったり、不利な体勢からドリブルを仕掛けてファールをもらってセットプレイのチャンスを作れるようになれば、清武もレギュラーは確実なのだろうが、やはり現状では攻守においてインテンシティや強さがまだ足りない。

しかし同じく彼の課題だったシュートについては光明が見えたのではないだろうか。この試合で得点を決めたシュートを打つ前、清武の視線はポストの左側を見ていたのだが、いざシュートを打った方向は逆サイド。シュートの勢い自体はほとんどコロコロだったが、ノイアーはその視線に釣られて体勢を崩してしまった。

思えば、こういうゴールはかつて香川が得意としていたパターンであり、ゴール前でわざとGKが反応するようなタイミングをずらしたドリブルや細かいフェイクを入れて、あっさり決めてしまう姿が日常だったのだが、今はボールに足を当てる動作だけで気持ちが精一杯になってしまい、こういったシュート前の遊び心が失われてしまっている。香川がこの清武のゴールを見て昔の感覚を思い出してくれば良いのだが・・・

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