旧閑ガゼッタ

ハリルホジッチ日本代表監督内定、しかし技術委員会の仕事はここからが本番。

アギーレ氏の八百長問題による突然の退任以降、いろいろすったもんだあった次期日本代表監督選考問題でしたが、ようやくハリルホジッチ氏に内定したようですね。

その間、マスコミではどっかのビッグネーム好きなお方が喜びそうなストイコビッチやレオナルド、ザック政権下で失敗したはずの夢を再びなダニッシュ・ダイナマイトのラウドルップといった名前が候補に上がってヒヤヒヤしましたが、何とか大仁会長が霜田委員長を留任させた事で、どこぞの権力者による鶴の一声じゃなくて技術委員会が監督選考を主導するという本来の流れを堅持できてホッとしています。

ハリルホジッチ氏は、ブラジルW杯でアルジェリア代表を率いて堅守とコレクティブなカウンターを武器にしたチームを作り上げ、グループリーグではベルギーを苦しめると同時に、世界チャンピオンになったドイツ代表を延長戦まで追い詰めた手腕は実に見事で、ザック退任後の代表監督候補として少なからずの識者が名前を挙げた監督です。

その人物評としては文字通りの「硬骨漢」。W杯後に就任したトルコのトラブゾンスポルでも強化ビジョンに沿うことが出来なかったクラブと袂を分かったように、選手にも周りにも高い要求やビジョンを突きつけ、それが満たされなければあっさり辞表を叩き付けるという、まるでトルシエとオシムを足したような頑固者のようです(笑)。

昨日のTwitterでもつぶやきましたが、日本代表の強化にとって最も障害になっているのは、監督の手腕がどうこうよりもスポンサーが求めがちな興業面と、とにかく自メディアが売れさえすれば火のないところに煙を立てまくるメディアである事は言うまでもありません。しかしJFAの事業計画書を見れば分かる通り、代表強化はもちろんの事、各種大会の主催、トレセン等の選手・審判の育成、社会貢献事業といった全ての活動はスポンサーマネーや親善試合等代表戦のチケット収入、テレビ放映権料で賄われており、彼らを敵に回す事が根本的に出来ないという点が問題なのです。

実際にアギーレ氏は、有罪が確定したわけではない推定無罪の身でありながら、結局はスポンサーにとってのイメージダウンとマスコミからの攻撃に耐えかねて更迭せざるを得ませんでした。裁判の召喚で時間が取られるというもっともらしい理由が付いてますが、今や監督業はコーチ陣との分業で行うものであり、ヒディング氏やテリム氏を見てもクラブと代表監督の兼任は不可能でなく、時間は単なる言い訳にすぎないと思っています。

従って、霜田委員長率いる技術委員会の仕事はこれからが本番である事は間違いありません。協会の営業担当や広告代理店からのプレッシャーや悪意のメディアから監督を守ると同時に、彼らと監督のどちらにも有益な強化プラン、まさに事業計画を立案しなければなりません。「海外組を国内に呼んで香川に10番をつけさせ、愛称はサムライブルー、あとは流れでお願いします」のスポンサーと、「国内組の強化、強豪とアウェイで試合、親善試合はあくまでテスト」を求めるであろう監督との溝は海より深いです。今のままのなあなあの魚心あれば水心で済むと思っていたらエラい事になるでしょう。

では技術委員会はどうすれば良いのか。その1つのヒントが2013年に行われた東アジアカップにあります。その東アジアカップは国際Aマッチデーではないために、柿谷や大迫、原口、山口、青山らの国内組を起用せざるを得ませんでした。しかし大会で優勝した事で彼らは自信を付け、メディアからはスターとして祭り上げられてセレッソは女性ファンで溢れかえり、柿谷と山口、青山、森重、大迫、齋藤はブラジルW杯にも招集されて結果的に選手層の厚みを増しました。

ACLやユース大会での世界経験が不足している中、今の日本サッカーに必要なのは若手や国内組の積極的な代表への抜擢、真剣試合での実戦経験でしょう。当然、それは五輪代表との連携も含みます。そういった骨太の強化プランをハリルホジッチ監督と技術委員会が協力して組み上げ、JFA理事会にガンガン通していく仕事を期待したいものです。