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Jリーグの選手とファンは、アジアで勝ちたいと心から思っているのだろうか?

昨日行われたACLの開幕戦。昨シーズンは3冠を達成したガンバ大阪は、中国スーパーリーグ3位の広州富力にホームで0-2の敗戦といつもながらの残念な結果になってしまいました。

その試合結果を受けて、TwitterでつらつらとACLで日本が勝てない理由について書いたところ、思ったよりも長くなって反響もいただいたので、ブログのほうにまとめてみました。

Jリーグ勢のスロースターターぶりはここ最近の定番になってしまっており、ここから徐々に勝ち点を積み上げて何とかグループリーグ2位で決勝トーナメントに進出するも、ベスト16であっさり負けてしまうというのもパターンになってしまっております。

ブラジルW杯でも散々痛い目に遭いましたが、どうしても日本人選手は日頃からパスワークに固執した考えを持っているせいか、心理面での準備が出来ないままで試合にフワッと入ってしまい、相手がフィジカルとインテンシティを全面に出してくると一気にパニックになってしまう傾向が強いようです。

そしてここでも散々言い続けている個人、組織両面での守備の問題。広州の先制点の場面が象徴的ですが、中盤で阿部がボールを晒した軽いキープをあっさり奪われ、ハムダラーの単独ドリブルに4人がついて行きながら誰もアタックに行かず全員ディレイでズルズル下がり、最後は前に岩下がいるのに小椋がフェイントに引っかかって無意味なスライディングで自爆と、まさにJリーグには守備の文化がありませんと大書するようなセオリー、連携皆無の惨状でした。

コロンビア戦で今野が犯したPKにしても、ザックや長谷川監督自体はしっかりセオリーや約束事は整備しているのでしょうが、人間は切羽詰まったり過緊張になるとどうしても地の部分というか、いわゆる「育ちの悪さ」が出てしまうのはサッカーに限らない現象です。だからこそ、ユース世代からしっかり個人・組織両面で守備理論を身に付けるべきとここで口を酸っぱくして書いているんですよね。

ネルシーニョなんかは対ACLの準備が上手かったけど、それは外国人監督だから日本が易きに流れる危険性を良く分かっていたからではないでしょうか。その対策すべきポイントの把握、空気の持って行き方が日本人監督は総じて下手だなと感じます。

日本勢がACLのグループリーグで帳尻を合わせてくるように、日本人もそういうサッカーに慣れたら十分そんな相手でも勝てるようになるんですよ。おそらく中韓のチームでリーグ戦を組めば、Jリーグ勢はトップでなくても比較的上位に並ぶ結果になると思います。ただ、アジア予選はともかくACLはあまりに慣れる時間が少ないし、ACLの間のJリーグでまた空気が緩んでしまうんですよね。

ただ、最近個人的に漠然と感じているのは、Jリーグの選手やファンが、本当のところはアジアで負け続けている現実から逃避して、Jリーグという島国世界の中で、楽しくサッカーが出来ればいいというガラパゴス思考に陥っているのではないかという懸念です。

ファンであれば、華麗なFKやダイレクトパスのゴールと、体で押し込む泥臭いゴールで価値を同じに見られるのか。1-0の勝利よりも4-3の勝利に喜んでないか。選手であれば、相手がスターであっても躊躇なくスライディングタックルを仕掛けられるのか。笛が鳴らなければ倒れた選手がいても躊躇なくシュートを打てるのか。ユースの先輩であっても練習で削り倒し、いつも飯を食ってる仲の良いチームメイトが退団になっても自分が上がれば良いと割り切れるのか。

あれだけ好調で結果を出していた鳥栖の尹晶煥監督が、はっきりした辞任理由は未だに分かってませんが、どうもクラブ首脳と選手からは必ずしも高い評価をもらってなかったという噂を聞いて大変暗い気持ちになりました。ゾーン・ディフェンスの使い手である三浦氏や松田氏の組織的なサッカーも日本ではほとんど評価されていません。今のJリーグの監督が目指す方針はどれも判で押したように「攻撃サッカー」ばかりです。

代表の場合は、まず何よりW杯出場という結果が全てであり、内容はあくまで二の次です。選手も次の開催は4年後なので、ほとんどの場合は1回こっきりの出場チャンスで必死になります。ACLがダメならリーグ、そして来年と予防線がたくさんあるJリーグとはその意味で根本的に立ち位置が違います。

もちろん精神論だけで片付けられる問題ではありませんが、ACLで結果を出せない理由をJリーグ側のサポートや審判、ピッチレベルのせいにするんじゃなくて、選手もファンも自分自身の問題として認識しないといつまで経っても何も変わらないのではないかと思います。そして、日本はゆでガエルになったまま、代表でもアジアで結果を出せない日がやって来るのではと心配してしまうのです。

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