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「ビッグクラブになればなるほど戦術は必要無くなるのかも」欧州CLベスト16第1レグ パリ・サンジェルマン-チェルシー

今朝は注目のシャルケ対レアル・マドリーの試合があったけど、睡眠不足に弱い体質なので録画を出来れば今晩に見る事にして、昨晩は火曜日に行われたPSGとチェルシーの試合を録画観戦。

どちらのチームにも日本人選手が所属しておらず、オイルマネーでスターを揃えた金満クラブという事で、彼らがいったいどんな高度な戦術を駆使してくれるのかと期待して見ていたのだが、正直なところどちらもそれほど戦術らしい戦術をやってなくて拍子抜けしてしまった。

チェルシーのほうは、一応DFラインの高さはゾーンディフェンスのようにボールの位置によって細かく上げ下げはしているのだが、中盤から前の5人についてはほとんど組織化されておらず、マークに付いたり付かなかったりで個人の判断に任せられている様子。そして極端なのがマイボール時のポジショニングで、右SBのイヴァノヴィッチがお前は長友かというぐらいにウイングの高さまで上がり、CBと左SBの3バック+マティッチの1ボランチだけで守る形になっていた。

そんなバランスもクソも無い守り方だったので、案の定試合の序盤は中盤でボールを奪われてからイブラヒモビッチやカバーニに決定的なヘディングを打たれる場面はあったが、チェルシーGKクルトワのファインセーブに助けられて無失点で切り抜けられた事がチェルシーにとっては大きかった。

PSGのほうになるとさらに守備組織はアバウトで、チアゴ・シウバ、マルキーニョス、ダヴィド・ルイスの3人で固められたセンターのトライアングルはまさにブラジルスタイルそのもの。DFラインの上げ下げはゆっくり、アンカーのチアゴ・シウバは長谷部のようなコマネズミのごとき働きはせず、真ん中でゆったり待ち構えて相手を自分の間合いに誘い込み、個人能力で相手の攻撃を摘み取って行く。アザールのドリブルには多少手を焼いたが、ジエゴ・コスタにはほとんど仕事をさせていなかった。

試合は前半36分にセットプレイの流れから、テリーのクロス、ケーヒルのフリック、イヴァノヴィッチがヘッドという珍しいDF3人によるコンビでチェルシーが先制すると、後半9分にはマテュイディのクロスにカバーニがピンポイントで合わせて同点。その後はイブラヒモビッチやカバーニにまたも決定的なチャンスが訪れるものの決めきれず。そのまま試合は1-1のドローでチェルシーホームでの第2レグを迎える事になった。

日本だと中盤でボールを奪われるとあっという間にシュートまで持っていかれるような場面でも、これだけ個人能力が高い選手が集まっていると、シュートまで行く間のどこかで相手の攻撃を止めたり精度を失わせる事が出来るため、そう簡単に決定機は作られないんだなと思い知らされる。従って、下手にラインを上げまくってパス1本で裏を取られるリスクより、バイタルが多少開いても人さえある程度揃っていれば良いと割り切れるのだろう。

そしてイヴァノヴィッチの極端に高いポジショニングを見ても、守備うんぬんで頭を悩ませるよりも、味方がボールを奪った後にどれだけ早く高い位置で基点を作れるか、ワールドクラスのアタッカーに気持よくシュートを打たせるかが、ビッグクラブにとってははるかに重要な事柄であり、つくづく日本のレベル、常識との次元の違いを痛感させられる試合であった。

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