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「マンチーニ改革が本格的にスタート、しかし長友は早速脱落・・・」イタリア・セリエA第22節 インテル-パレルモ

ここまで公式戦3連敗と、マンチーニ体制になってから初のスランプに陥っていたインテル。しかし同じ順位を争う好調パレルモとのホーム戦では3-0の快勝。ようやくインテル復活への緒が見えて来た。

おそらくマンチーニ監督が問題にしていたのはチーム全体のインテンシティ不足。チャンピオンズリーグに出場しているチームのうち、イタリア勢の運動量不足が目立っているとのデータがあったらしいが、インテルもモロにそのパターンに陥っていたと言える。

確かに、長友を筆頭としてグアリン、パラシオ、クズマノビッチ、エルナネス、ポドルスキ、オビ等走れる選手もいるのだが、ジョナタン、ドドー、ダンブロジオ、コヴァチッチ、イカルディといった走らないテクニシャンも多く抱えてしまっていた。

そして運動量がある選手のうちテクニックも持ち合わせているのはパラシオぐらいで、エルナネスは絶不調だしポドルスキもなんか微妙で、マンチーニ監督はいろいろ選手をとっかえひっかえしていたがどの組み合わせもしっくり行かず、それが冬の移籍マーケット後の連敗につながっていたと言える。

しかしこのパレルモ戦ではイカルディを除いた走らないテクニシャン連中、しかもテクニックでは抜きん出た存在であるコヴァチッチを思い切って先発から外し、グアリン、メデル、ブロゾヴィッチ、シャチリ、サントン、パラシオ、長友といったメンバーを起用、その采配がズバリと当たった。

パレルモはアウェイ戦に弱いとは言え、インテルは試合序盤から中盤のプレッシングでパレルモを圧倒し、立て続けにセットプレイから惜しいチャンスを作ると、15分にシャチリのCKからグアリンがドンピシャで合わせて先制点を奪うと、その後もイカルディが2度ほど決定機を作るのだが決めきれず。

いつものインテルであれば、長友が守備から長い距離をオーバーラップする姿が目立つのが通常なのだが、この試合のインテルは全体がコンパクトな上に左インサイドハーフのブロゾヴィッチが終始高い位置取りをして相手を押し込んでいるので、なかなか長友が上がるスペースが出来無いという珍しい状況になっていた。

そのせいというわけでも無いのだろうが、前半35分に長友が相手にタックルで当たられながら攻め上がろうとした際に太ももの裏、おそらくハムストリングを痛めて退場。アジアカップでの怪我を引きずったまま出場していたので大丈夫なのかと思っていたら、案の定で本格的な肉離れになってしまったようだ・・・

先日のTwitterでゾーンディフェンスの話をしていた時に、長友は内田に比べてSBとしてもポジショニングが身についていないと書いたが、結果的に言えばマッツァーリ監督時代に3バックのWBとして起用されてしまったのがブラジルW杯も含めて裏目に出たなという気がする。もともとゾーンディフェンスの訓練を受けて育っていないために、インテルでも守備が問題視され続けていてやっとこさ定評を勝ち取ったかなというところでコンバートされ、また守備の落ち度を叩かれる状態になってしまっていた。

それがようやくマンチーニ監督の就任でSBとして再教育してもらえるかなと思っていた矢先、それも後半の長友無双という異様な使われ方から脱却して普通のSBとして働けるチームになったと思った試合での怪我というのは本当に残念。まあ、マンチーニの好みからして長友が干されるとは考えづらいが、これを好機と捉えてポジショニングをじっくり学んで欲しい。

さて長友の退場で同じポジションにドドーが入ったが、中盤がきっちり相手を抑え続けている状態だとドドーの守備力もあまり問題にならず、その後もインテルは最後まで試合をコントロールし続け、後半にイカルディが2点を追加しての完勝。CL圏内はさすがに厳しいが、EL圏内のフィオレンティーナとは勝ち点6の差なので、まだ希望はある。ここからの逆襲に期待したい。

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