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「長谷部の奮闘で価値あるドロー、乾は何とか同点弾の演出で記憶に留まる」ドイツ・ブンデスリーガ第20節 アウグスブルク-フランクフルト

11月からリーグ戦は7勝2敗の好成績で、いつの間にかリーグ3位にまで登って来たアウグスブルクとのアウェイ戦に臨んだフランクフルト。前半のうちに2点を先行される苦しい展開ながら、前半終了間際の乾のFKから1点差に詰め寄ると、後半25分にはアウグスブルクのパスをクリア気味にカットしたザンプラーノからのボールがそのままマイヤーへのスルーパスになって、これを冷静に決めてフランクフルトが2-2に追いつき、そのまま試合は動かずドローのままで試合終了。

しかしそれにしてもフランクフルトにとってドローの結果はラッキーだった。何しろ前半の守備が完璧に崩壊していて、アウグスブルクにまともな決定力があったら確実に前半だけで4点は入っていたに違いない。

フランクフルトのフォーメーションは4-4-2という並びにはなっていたが、実際はボランチの一角であるルスが文字通りポジションを留守にして前に上がってしまうために(笑)長谷部がアンカーの4-1-3-2の状態になる事が多く、それに対してアウグスブルクはアジアカップ日本戦でのUAEのように、長谷部の横に両SHを置いて2トップをフランクフルトのCBとSBの間に配置したため、長谷部1人に対してアウグスブルクの選手が4人で取り囲むという形になってしまっていた。

しかもフランクフルトの2トップがアウグスブルクのCBにプレッシャーをかけず、乾とアイクナーはSBと対峙する位置にいて長谷部をフォローしないため、長谷部の周りの4人が好き放題にボールを受けてラインを破ってというザルっぷり。フランクフルトのCB、ザンプラーノとアンデルソン間でアタックとカバーの連携が全く無く、前半7分にクリアを相手にプレゼントしてゴールを決められた場面が象徴するように集中力の欠如も酷いものだった。

攻撃も雨でピッチが緩んで選手が踏ん張るとボコっと芝が剥がれる状態で、これで乾は全く得意のドリブルが出せない状態になって試合から消えてしまい、FKで得点につなげる仕事はしたものの本当に目立ったシーンはそれだけで前半のうちに交代。しかし長谷部はこんな文字通りの四面楚歌状態であっても、ミス無く確実に味方へパスを送る堅実なプレイで孤軍奮闘、チームMOMに値する働きを見せていたのは流石というしか無い。

さて前半はボロボロだったフランクフルト。さすがにハーフタイムで監督から雷を落とされたのか、後半になるとフランクフルトのDFラインに統率が見られるようになり、アウグスブルクの前線をオフサイドで牽制しつつ、ボールを奪うとサイドチェンジで大きく展開するという荒れたピッチを考慮した戦い方になって、前半に飛ばしたおかげで疲れが出たアウグスブルクに対してボールを支配するものの、やはりこちらも最後の決定力に欠けて決定機をものにできず、2-2に追いついた後は逃げ切りを意識した試合に切り換えてしまった。

昨日はたまたまTwitterで、日本の選手はユース世代でゾーンディフェンスの訓練を受けていないために、大人になってから欧州に移籍すると守備への適応に軒並み苦労している、という話で盛り上がってしまったのだが、乾も一応レギュラークラスには位置しているものの、この試合では本来やるべき長谷部のサポートや相手SHへのフォローが疎かになっていて、やはり欧州では攻撃的なサイドプレイヤーであってもゾーンを理解した守備をしないと厳しいと痛感させられてしまう。が、長谷部のようにキャリア晩年になってからいきなりアンカーとして開花する選手もいるのだから悲観しすぎても良くないなと思ったりと、いろいろ考えさせられる試合であった。

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