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「アジアカップを経て自信を積み重ねた2人」ドイツ・ブンデスリーガ第19節 フランクフルト-ヴォルフスブルク

現在ブンデスリーガで2位、しかも前節には無敵のバイエルン・ミュンヘンに4-1で完勝する大殊勲をやってのけ、今ドイツで最も好調なチームと言って良いヴォルフスブルクに対し、最後はドローで終わったとは言えフランクフルトが試合終了間際まで1-0でリードする健闘を見せた試合。その立役者となったのは紛れも無く乾と長谷部の日本人コンビだったと言えよう。

特に長谷部は、キッカー誌のMOMと第19節ベストイレブンに選ばれる活躍。ヴォルフスブルクは4-2-3-1のフォーメーションで、フランクフルトは中盤ダイアモンドの4-1-3-2。マッチアップを見れば絶賛売り出し中のベルギー代表のデ・ブライネ、しかも戦術の相性的にはフランクフルトのサイドが数的不利になりやすく、長谷部はそのカバーもしなければならない極めて難しい仕事であったが、どちらもほぼ完璧に抑えこむという見事な奮闘ぶりだった。

試合終了間際に長谷部がマークしていたデ・ブライネに得点を奪われてしまったが、それはフランクフルトのCBが足を滑らせて最終ラインに穴が空きそうになったのを察知した長谷部が、デ・ブライネのマークをあえて外してカバーに入ったためであり、長谷部の高い危険察知能力が発揮されたゆえの失点だったと言える。

シーズン当初にアンカーで起用された時は、これでワンボランチなんか到底無理なんじゃないかという右往左往ぶりだったのに、年末あたりからいきなり覚醒し、これでアジアカップの4-3-3は目処がついたと喜んだのがつい最近の事なのが信じられないぐらいの安定感。そして今や長谷部が居た頃のヴォルフスブルクでアンカーとして不動のレギュラーだったジョズエを彷彿とさせるような選手に成長したのは驚きというしか無い。ただ難を言えば、アタックに行って交わされた後にホームポジションへと戻る動きをサボる時があるので、そこが向上すれば上のクラブでも働ける選手になる。つーか、今すぐにでもドルトムントに行って欲しいのだが(笑)。

乾は、中盤でのダブルタッチからメッシのようなドリブルで次々に相手を抜き去り、先制点のアシストを決めるプレイを始め、要所でしっかりボールをキープして前に運ぶ役割を果たして攻撃を牽引した。かつての不調時に比べるとドリブルの姿勢で背筋が伸びて視界が確保できており、プレイに自信が満ち溢れている。が、2度あった絶好のシュートチャンスではキックミス、ゴール前で股抜きのラストパスを狙って相手に当てるなど、向上が見えるとは言え土壇場の判断にはまだまだムラがあるように思う。

何となく、乾の場合はゴール前のラストプレイをエイヤの決め打ちでやってるようなフシがあり、今はすっかり錆びついてしまったが、ゴール前で冷静にDFやGKの重心やステップを見てシュートやパスのコースを変えられる香川との大きな差ではないかと思っている。そこの壁を今から乗り越えるのは難しいかもしれないが、今なお成長している長谷部の姿を見て努力して欲しいものである。

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