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「左サイドのプレイが出来なくても本田はチームに貢献出来る」イタリア・セリエA第21節 ミラン-パルマ

本田がアジアカップで抜けていた間、クリスマス休暇明けからずっとリーグ戦で勝ち星が無かったミラン。しかし本田が先発に復帰してフル出場したパルマ戦では、相手が最下位とはいえ久々に3-1の快勝となり、クラブとサポーターに本田の価値を再認識させる結果になったと言える。

とは言え、ミランの攻撃はほぼチームとしては機能していなかった。特に4-4-2でスタートした前半は、メネズがフラフラとボールを触りに下がるだけでローマから移籍して早速先発したデストロが孤立、中からの組み立てが全く出来ずにかろうじてサイドへとボールを振るものの、そこで前を塞がれるとボールの出しどころが無くて本田もDFやボランチにボールを下げるばかり。

仕方なくいつものように本田が中に入ってボールを受けようとするのだが、右SBのザッカルドは本田が動いて出来たスペースに上がる回数が少なく、ダブルボランチのポーリとファン・ヒンケルから縦パスは出て来ず、左SHに入ったチェルチは窮屈そうにプレイするばかりでコンビネーションは皆無状態。

業を煮やしたインザーギ監督は25分頃から本田とチェルチのポジションを入れ替える。これでチェルチがとたんにイキイキとし始め、ドリブル突破を中心にミランの攻め手を作れるようにはなったものの、その分の割を食ったのは本田。本田が左サイドでボールを持ってもそもそもキープのボディシェイプが違うので変なターンをしてバックパスをしたり、右ならカットインしてからシュート、再度持ちだして右のクロスという選択だったのにそれが逆になり、まるで利き手とは逆に箸を持ったみたいにプレイがギクシャクしてしまい、ほとんどまともにプレイが出来ていなかった。

1-1で迎えた後半からミランはファン・ヒンケルに代えてエッシェンを投入し、メネズをトップ下にした4-2-3-1に変えて来た事でようやくミランにリズムが生まれる。ダブルボランチが共に膠着していた前半とは違い、エッシェンは良くも悪くも幅広く動き回る事で中盤に流動性が生まれ、そこにメネズが入って本田が中に入ったりと前線にも伝搬、パルマのプレスが弱まった事もあってミランが試合を支配する。

そして57分にメネズの単独ドリブルからの2点目、76分にはメネズのクロスにザッカルドが中で合わせて3点目を奪ったが、いずれも本田はしっかりと逆サイドに走りこんでおり、彼自身のゴールやアシストにはつながらなかったものの、パルマのDFやGKの意識を引きつける役割を果たしており、さすがに終盤は疲れが見えたがカウンターのチャンスには最後まで上がる気力を失わず、こういう目に見えない献身的な本田の動きがミランの勝利に結実した事は間違いない。

左サイドでもプレイも最初は目を覆うような酷さだったが、後半途中からは何となく無難ではあるけどプレイをこなせる事が出来ていて、本田が持つ柔軟性の高さを感じさせた。まあ、本田も清武と同じく本質的な適性としてはボランチだと思っているので、その柔軟性を守備の方に発揮してほしいとは常々思ってはいるんだけどね・・・とにかく結果は出なかったけど、今後も本田がインザーギ監督に起用され続ける可能性は高いと確信した試合だった。

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