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「徹底的に守られるとどんなチームでも苦労する」イタリア・セリエA インテル-トリノ

マンチーニ監督の就任で調子を取り戻したインテルは、いつの間にか本田が抜けてボロボロになったミランに追いつく順位にまで復帰してきたのだが、このホームで迎えたトリノ戦では痛恨のロスタイムゴールを食らって敗戦してしまった。

インテルの出来がどうこうと言うよりも、この試合はトリノの徹底した専守防衛サッカーに目を引かれた。トリノは3-5-2のフォーメーションだが実際はほぼ5-3-2のような形で、後ろの8人がほぼPAの外側からほとんど上がらず分厚い壁を作っていた。

4-4-2のゾーンディフェンスの場合、ご存知のようにスカルトゥーラと呼ばれるボールホルダーへのアタックに応じ、他の7人がディアゴナーレという動きでスカルトゥーラをした選手のポジションをシフトして埋める連動性が特徴で、それが少しでも狂うとDFラインにポッカリとスペースが空いてピンチを招いてしまう。

しかし5バックの場合は中盤のスペースを埋めに後ろの誰か1人が上がってもDFラインは4人が残っているので穴が開きにくい。その代わり中盤3人の外側が使われやすいが、トリノは5バックの外側の選手が中盤に参加する事で4-4の形になり、インテルのサイド攻撃に対抗していた。

そして攻撃ではまず2トップにボールを縦に入れた後、思い切って長いリターンを相手の人数が少ない逆サイドに振る形が特徴的で、通常のボールを真後ろに入れて中盤に拾わせるポストプレイだとプレスバックの餌食になりやすい欠点をカバーしていた。

インテルはイカルディの1トップに2列目がパラシオ、コバチッチ、ポドルスキを並べた4-2-3-1で、コバチッチがまるでドルトムントでの香川のように狭いゾーンの間でボールを受けて反転する動きを核にトリノを攻めたのだが、日本のUAE戦のようにクロスがことごとくタイミングが合わず、ミドルシュートは集中力高く守るトリノの守備陣にクリアされ続けてしまった。ここに長友がいて終盤恒例のオーバーラップ祭りがあれば違ったのにと思わざるを得なかった。

これで図らずもアジアカップ後に見た海外の試合は、どれも実力的には上のチームが点を取れずに勝てない結果ばかりになってしまった。別にもう慰められなくていいんだけど(笑)、本当にサッカーというスポーツは点が取れない時はとことん点が取れないものなんだなと改めて実感させられる1週間だった。

 

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