サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

世界レベルにおける成績から見る、日本にとって決定的に欠けている存在

南アフリカ、ブラジルW杯を経験した海外組のベテランを多数起用し、アジアで別格の強さを見せてくれるはずと期待された今年のアジアカップでまさかのベスト8に終わり、昨年は五輪代表以外全ての年代別カテゴリーでアジアのトップ4に残れなかったという現実に日本は直面してしまった。

単純な成績はもちろんだが、早期敗退によってアジアトップ4、世界大会、ACLも含めて真剣ガチ試合を経験する機会が減り、日本代表が経験不足の選手ばかりになってW杯ベスト8はおろかアジア予選すら通過できなくなるのではないかという危機感がサッカーファンの間で募っている。

しかし、何故突然日本が結果を出せなくなったのか。最近のエントリーでUAE戦に見られたような”決定力不足”の原因となるポイントについていくつか揚げてみたが、もしかするとこの点が一番大事だったのかもしれない、と思う点を改めて書いてみる。

その前に、日本が世界レベルのガチ試合、つまり親善試合やコンフェデじゃなくて、W杯本番と南米選手権の全成績を並べてみる。

1998年フランス大会(岡田武史)
1次リーグ ●0-1 アルゼンチン
1次リーグ ●0-1 クロアチア
1次リーグ ●1-2 ジャマイカ

1999年南米選手権(トルシエ)
1次リーグ ●2-3 ペルー
1次リーグ ●0-4 パラグアイ
1次リーグ △1-1 ボリビア

2002年日韓大会(トルシエ)
1次リーグ △2-2 ベルギー
1次リーグ ○1-0 ロシア
1次リーグ ○2-0 チュニジア
決勝T1回戦 ●0-1 トルコ

2006年ドイツ大会(ジーコ)
1次リーグ ●1-3 オーストラリア
1次リーグ △0-0 クロアチア
1次リーグ ●1-4 ブラジル

2010年南アフリカ大会(岡田武史)
1次リーグ ○1-0 カメルーン
1次リーグ ●0-1 オランダ
1次リーグ ○3-1 デンマーク
決勝T1回戦 △0-0(PK3-5) パラグアイ

2014年ブラジル大会(ザッケローニ)
1次リーグ ●1-2 コートジボワール
1次リーグ △0-0 ギリシャ
1次リーグ ●1-4 コロンビア

このうち、日本が勝利したのは2002年のロシアとチュニジア、2010年のカメルーンとデンマークのみ。これらは全て、日本が先制してから逃げ切った試合で、逆転で勝った試合は1つも無し。逆に、先制したものの逆転負けを食らった試合は2006年のオーストラリア、ブラジル、2014年のコートジボワールの3試合となっている。

そして、守備的なサッカーで先制された場合はほとんどが負けに終わり、日本が攻撃的なサッカーで勝った試合は1つも無い。トルシエジャパンは攻撃サッカーを標榜していたが、ベルギー戦の引き分け以降は宮本がラインを下げて現実的な守り方に転向したのでそこからは守備的なスタイルだと言える。

つまり、守備的なサッカーで先に点を取ればかろうじて勝てるかもしれないけど、攻撃的なサッカーでは先に点を取っても持ち堪えられないのが日本の現状というわけだ。もちろん、その原因は日本人の個人としての守備力の弱さ、人数をかけないと攻撃サッカーが出来ないインテンシティの弱さといった原因もあるのだろうが、逆転負けの試合はいずれも攻めたい選手と守りたい選手の意志が統一されずに混乱したものであり、個人的には試合中に展開を見て攻撃的と守備的の切り換えが出来ない、モメンタムを変化させられない点が大きいように思う。

いくら選手個人に経験があってもチームとしての意識統一がバラバラでは意味が無いわけで、その場合に重要になって来るのがキャプテンの存在。ブラジル代表が主将のチアゴ・シウバを欠いた今年のW杯準決勝で、ドイツに対して1-7という歴史的な惨敗を喫したように、一度チームのモメンタムが崩れてしまえばどんな強豪でも呆気無く崩壊してしまうものである。

代表の現キャプテンである長谷部は、確かにリーダーシップもあって整っているし、キャプテンとしてふさわしい人物である事には異論が無い。しかし彼はどちらかと言うと”平時のキャプテン”であって、ピッチの上で発生する逆境を何とか出来る人では無いと思っている。

チーム全体がフワフワしていたりパニックになっている時に、長谷部が一人でチームを整えようとしてもそれは難しいわけで、必要なのは一発でチームの空気を変えられるようなショックを起こせる存在、極端に言えば鉄拳を振るってでも選手の目を覚まし、戦う集団に変えられる存在、つまり”闘将”と呼ばれるような選手ではないか。

コートジボワール戦であれば、ポジションを放棄してフラフラしてる選手には胸ぐらを掴んで組織を思い出させ、ヤヤ・トゥーレにはイエロー覚悟のタックルをお見舞いし、ドログバにビビって下がる守備陣には「オフサイドの位置に居ればタダの電柱だ」とばかりにラインを上げさせる、そんなピッチ上の軍曹がもしあの場にいたら・・・

当然、メンタル的な話が全てだとは言わないし、そういうキャプテンが居たからといって勝てたとは限らないわけだが、現在の日本、それも全年代の代表にとって最も足りない要素である事は間違いないと思うのだ。

モバイルバージョンを終了