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「アジアカップの失敗をどう判断するか」アギーレ監督中間評価

残念ながらベスト8止まりと非常に不本意な形になってしまったアジアカップも終わり、まだ就任から半年余りではあるが現時点でのアギーレ監督に対する中間評価を、いくつかのポイントに分けてやってみる。採点の方式はガゼッタ風で。

戦術 6

ご存知のように基本戦術は4-3-3。このフォーメーションに慣れておらず、特にアンカーという難しいポジションをこなせる選手がいない日本での浸透はどうかと思ったが、長谷部のアンカー起用が上手くハマりそれなりに機能できている。インテグラルトレーニングと呼ばれる練習方法も効果的なようだ。

ただ、4-2-3-1との使い分けはあまりスムーズでなく、UAE戦のように相手に引かれるととたんに足元で短いパスを回して密集でゴチャゴチャやってしまう悪いザックジャパンの姿が出てしまうので、応用力、浸透力がまだまだ足りないが、まだ半年ではあるので期待は出来る。

戦略 6

ブラジル戦を含め親善試合はあくまで選手選考に使い、本番できっちり練度を整えるという方針は、いかにも代表経験のあるベテラン監督らしい手慣れた強化である。ただ、スポンサー受けや金儲けにうるさい協会の一部からは嫌われていそうだが・・・

アジアカップのグループリーグへの入り方を見ても、モチベーターとしての実力は高い。が、気候の変化や連戦の疲労に弱い日本人の特性を見抜けずUAE戦で失敗したように、アジアに対する経験値はまだ低いので今回の失敗を糧に出来るかどうか。

采配 6

選手交代については、カードをもらった選手、疲れが出た選手を見極めて弱体化した部分を適切に交代できていて、基本的な戦況把握能力は高い。が、アジアカップでは攻守に効いていた乾を毎回途中で下げてしまうなど、本田と香川を聖域化してしまった采配には疑問がある。それだけ彼らに比べると他選手の信頼度が低いのだろうが、今後はもっとフラットな視点で競争原理を持ち込む姿勢が必要だろう。

人選 6.5

岡崎の1トップ、本田の右ウイング、長谷部のアンカーとクラブでやっている慣れたポジション通りに配置し、香川と遠藤というダブルボランチでは守備力が弱い2人をインサイドハーフに使うなど、選手の特性を見極めた納得度の高い起用が出来ているのはセレクタ型としての面目躍如だと言えよう。武藤、柴崎といった潜在能力の高い国内組もフィットさせつつある。不振にあえぐ香川の代役、4年後が不安なGKなど弱い部分に今後どう手を入れるか注目したい。

育成 5.5

セレクタ型の監督だからしょうがないが、坂井、皆川、森岡、松原、扇原など呼んだだけでそれっきりの選手はたくさん居て、代表招集によって何か彼らに成長の兆しが見えた感も無いのは少々残念。U-22の手倉森監督が代表コーチでもあるので、今後はそこの連携で何か効果が出るかもしれないが、現時点ではあくまで不明。

人物 6

顔はいかにもマフィアっぽくて八百長疑惑でも損をしている感じだが(笑)、意外と中身はお茶目で選手とコミュニケーションを良く取り、モチベーターとしても優秀なところを見せている。魑魅魍魎に囲まれた中南米のベテラン監督だけあってマスコミ対応も上手く本音をはぐらかしたりするなど政治的な手腕も持ち合わせ、代表監督としての安心感は高い。問題は八百長疑惑だけなんだよなあ・・・

総合 6

八百長疑惑とアジアカップベスト8敗退で窮地に立たされている格好になってはいるが、日本が呼べる監督としては上々の部類である事は間違いない。今回直面したアジアの難しさへの対処、4年間という長い期間を任せてザックジャパンのようなマンネリ化、慣れ合い化が起こらないかという点はまだ未知数だが、今のところは辞めさせる理由は無いのではないかと思う。

さて、今回の結果とスペインでの告発の進行状況を受けて、大仁会長ははっきり続投を明言したものの、協会の一部やマスコミはそれに対してどう反撃してくるのか。個人的には、一見すると四面楚歌に見えて何か意外と潮目が変わったようにも思えるのだが・・・はてさて。

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