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「盤石の三連勝だが突っ込みどころはまだまだ多い」アジアカップ グループD 日本-ヨルダン

ブラジルW杯アジア最終予選で1-2の敗戦を喫したヨルダンとのグループリーグ最終戦、しかも日本が負けると逆転でグループリーグ敗退の可能性があった難しい試合ではあったが、日本は後半の序盤に押されながらも終始試合をコントロールし、2-0でヨルダンに勝利してグループリーグの首位突破を確定した。

日本の先発は、最もスケジュール的に厳しいグループなのでターンオーバーをして来るかと思ったのだが、2位通過になった場合にベスト8で対戦する相手が優勝候補の1つであるイランになってしまったのと、おそらくアギーレ監督的にはサブの経験よりも現在のチーム力の完成度を高める方針を重視したと見え、前2戦と同じメンバーで臨むことになった。

ヨルダンのフォーメーションは4-3-3で、日本がボールを持っている時にはその形のままフラットな3ラインを組んでゾーンを作りつつ、4バックで日本の3トップをマークしながら中盤の3人のサイドが日本のSBの上がりをケアする守備組織を取って来た。

そうなると当然日本のインサイドハーフに対するマークが甘くなり、日本は香川や遠藤からサイドチェンジのボールが多く出され、そこから乾や長友が受けてコンビネーションでサイドを崩し、岡崎のダイアゴナルな動き出しに合わせる攻撃が機能、前半24分に生まれた先制点もまさにそういう形から生まれたものであり、ゲームプランがきっちり嵌った試合だったと言える。

後半からはヨルダンは4-4-2にして来てサイドを埋めると同時にラインを押し上げ、20分頃までは日本陣内に攻め込む時間帯を作って日本に危ないミスもあったのだが、チャンス一歩手前までは作れても完全な決定機というまでには行かず、燃料切れを起こした後はまた日本の一方的なペースになって突き放された。

そして3試合無失点という結果が表すように守備も安定。ザックジャパン時代には日本の攻撃陣がショートパスとポジションチェンジにこだわり過ぎてポジションバランスを崩し、あっさりカウンターを食らう場面を何度も見たが、アギーレジャパンでは吉田と森重、長谷部の成長も大きいのだろうが、相変わらず香川はフリーダムではあるものの何より本田や遠藤がしっかりバランスを取り、攻撃陣もプレスバックを怠らない献身性がこの安定感に繋がっている要因になっている。

とは言え、さらに世界レベルを視野に入れた場合の注文点はたくさんある。まずはサイドチェンジからの流れの部分で、日本はサイドチェンジをしてから一旦足元に置いて攻めるパターンが多かったが、世界はワントラップから一気にスピードに乗ってサイドを突破、そこから出る矢のようなクロスにピンポイントで飛び込む速攻が定石であり、わざわざ溜めてオーバーラップからふんわりクロスを上げている日本はまだまだサイド攻撃にスピード感が足りない。

そして相手が4-3-3であれば日本がオーバーラップをかけるとサイドに2~3人が集められ、必ずセンターにフリーな選手が出来るはずで、例えサイドで詰まってもアンカーやCBが高い位置で中継点となって素早く逆サイドへボールを送れば必ず崩せるのだが、日本はサイドの密集から無理に攻め切ろうという姿勢が強すぎた。もっとゴール前で左右の速い揺さぶりが出来ないと、今後もなかなか引いた相手を崩せないだろう。

あとはやっぱり香川の調子。この試合では2点目を挙げてMOMになったとは言え、かつての香川であればああいうクロスは馬鹿正直にインサイドで当てに行くのではなく、GKをあざ笑うかのようにニアの高い位置にインフロントで突き刺していたはずだ。それ以外にも、周りの状況を考えずにひとりよがりなアイデアでパスミスをしていたり、やはりメンタルなのだろうが彼らしくない視野の狭さを感じるプレイがまだまだ多い。まだ清武にもそういうメンタルの波があると思うので、あくまで冷静にリスクオンとオフとを判断してプレイしている長谷部や本田と早く同じ波長になって欲しい。

さて次の相手は予想通りUAE。何か巷では必要以上に恐れられており、確かにアブドゥルラフマンはアジア最高峰の古典的テクニシャンだけど、攻撃が100%彼のパスに依存しているサッカーなので、チーム全体で彼を自由にさせずプレスバックを徹底し、高い位置で前を向いてボールを触らせなけれなそれほど怖い相手ではない。日本がミス無く普段通りの実力を出せば勝てる試合だ。守備の運動量や連動性が重要になるので、アギーレ監督には選手のコンディションや戦術の練度をシビアに見て先発を判断してもらいたい。

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