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「日本がアジアと戦う上でのベンチマークを作れるか」アジアカップグループリーグ展望

2015年のアジアカップが昨日から始まり、開催国のオーストラリアはクウェートに先制点を許しながらも着々と得点を積み重ね終わってみれば4-1の快勝と好スタートを切ってます。そして日本のグループDは12日が初戦で、相手はパレスチナ。同じグループのイラクやヨルダンに比べて一段力が落ちると見られているだけに、ここはきっちりと勝ってリズムに乗りたいところです。

そしてグループリーグ全体で見ますと、今回の日本代表についての注目すべきポイントは大きく2つあるように思います。

まず1つはコンディション。W杯では怪我明けだったり試合感覚が戻ってなかったりする選手が多く、事前キャンプのフロリダで強い負荷のトレーニングを行ってしまったがために本番では運動量が落ちてしまった失敗があった事は記憶に新しいです。しかもオーストラリアはブラジルと同じ南半球。香川を除けば比較的試合に出ている選手が多いとはいえ、アジアが相手であっても不安材料はあります。

今回も決勝トーナメントを最後まで戦うことを踏まえて負荷は強めにかけているようで、グループリーグ序盤は体力的にキツイかもしれません。そういう状態では闇雲に走るよりもしっかりボールの方を走らせてポゼッションし、体力をセーブしながら試合をコントロールする術が求められます。

2つ目はやはりカウンターを狙ってくる相手への対処。言うまでもなく中東のチームは日本に対して固く引いて守り、前線にスピードのある選手を残して一気にカウンターを狙って来るはずです。そこで日本はカウンターのリスクにきっちり対処しつつ引いた相手を攻め崩すサッカーをしなければなりません。

今までの日本だと、相手が引いてしまうと攻撃にやたらと人数をかけては足を止めてチマチマとショートパスを回して相手に突っつかれて、守備の人数が揃ってない状態でカウンターを食らい、最後は何とか相手のシュートミスで助けられるというパターンが多かったのですが、そこをアギーレ監督はどう対策してくるのか。

チャンピオンズリーグなどを見ていると、強豪が引いた相手を崩すための方策はほぼ共通しており、まず正確なサイドチェンジで相手の守備が薄くなっているサイドの高い位置で基点を作り、サイドで1対1ならドリブルで崩してCBを引き寄せ、中にスペースが空いたところにクロスを合わせてズドンか、2対1で止められたら高速パスで中央、そして逆サイドへボールを移して相手の守備陣形を動かしつつオーバーラップを絡めてサイドを崩して中で決める、というセオリーになっています。

今までの代表での練習内容を聞く限りでは、やはり早いタイミングでクロスを上げる事、そして中に人数をかけて選手が飛び込むことが徹底されているようで、このセオリーに則った指導がされているように思います。日本には高さのある選手がいないから、日本はクロスよりもパスで崩すほうが得意な選手が多いから、というエクスキューズは考慮せず、崩すための本質をまず貫こうとしているところがいかにもリアリスト、セレクタ型の監督らしいなと思います。

そういう意味で、今回のアジアカップは日本がどこまでワールドスタンダード、正攻法なサッカーを見せられるのか、それがアジアに対してどこまで効力を持つことが出来るのか、ある意味今後のベンチマークになる大会なのではないかと楽しみにしています。

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