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「乾と長谷部のフランクフルトコンビが香川を救う鍵になる?」ドイツ・ブンデスリーガ第17節 レヴァークーゼン-フランクフルト

最近は勝ち星のペースが落ちて来たとはいえ、現在リーグ3位の強豪であるレヴァークーゼンに対し、フランクフルトはドローはおろかアウェイで勝利する可能性もあったぐらいに惜しい試合をして見せた。

フランクフルトが健闘した一番の理由は、今期は完全にドルトムントのお株を奪っているレヴァークーゼンのゲーゲンプレッシングに対してラインを全く下げなかった事。もちろんそうなると、中盤での激しいボールの奪い合いから互いに高いDFラインの裏をいかにして取るかというのが試合を左右するポイントになるのだが、そこで目立ったのが長谷部の貢献である。

とにかくピッチのあらゆるところに顔を出して基点を潰しまくり、1対1で直接的に負ける事があっても最後まで体を寄せたり投げ出したりでパスの精度を一歩でも遅らせ、キースリングらが常時狙うライン裏へと送り込むボールの出どころを徹底的に抑えていた。そしてボールを奪えば狭いスペースの中でも着実にパスをつなげ、逆にカウンターを食らうようなミスを起こさなかった。83分に乾と交代で入ったメドイェヴィッチが、いきなり中盤でミスをしてレヴァークーゼンの同点ゴールを許した場面を見ても、長谷部がいかに難しいタスクをハイレベルでこなしていたかが分かる。

以前の私の考えでは、長谷部は1ボランチとしてはポジショニングや身体能力に難があり、欧州レベルでは通用しないのではないかと思っていたが、後ろが高いラインを保った状態では十分通用する目処が立ったのは心強い。単に潰すだけなら細貝の方が上かもしれないが、判断やポジショニング、攻撃では明らかに長谷部が上回っている。アギーレがアジアカップに細貝を呼ばなかったのは長谷部でアンカーは大丈夫だという計算が立ったからだろう。もちろん、それは長谷部自身の努力が実った結果である事は言うまでもない。

乾については、PKを奪ったドリブルはあったが全体的には目立たない出来。でも逆説的ではあるが、その目立たないという事が一番良かった点ではないかと思う。以前の乾であれば、とかくサイドという持ち場を離れて中央に寄ったりボールを受けに下がったりする動きが多かったのだが、フランクフルトのようにハイプレスを仕掛ける戦術の場合、そういう選手が1人でも出れば連動性が落ちて穴を作ってしまうわけで、ボールが来なくても戦術的なポジショニングを優先してチームの駒として働けるかどうかが欧州では重要であり、乾自身と言うよりは長谷部の助言が大きいのだろうが、その日本人が陥りやすい戦術の罠から脱出できたのが今の地位に繋がっているように思う。

アジアカップでは、おそらくインサイドハーフの左は香川が勤め、左ウイングは乾か武藤、アンカーは長谷部になる事を考えたら、このフランクフルトコンビと香川の連携が重要になって来るわけで、彼らの好調な動きが上手く香川のサポートや気付きに繋がってくれればと期待する。

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